何百ものピンク色の桜の花弁が、風に乗ってみずきの足下を舞った。
ふと、花びらが一枚、その小さな嵐からはずれ、みずきの頭の上まで舞い上がった。みずきは片手を伸ばし、親指と人差し指でそれをつかみ、じっと見つめた。
桜の木の下に一人佇むみずきの横を、何組もの幸せそうな人々が通り過ぎていった。皆が皆、幸せそうな笑顔を浮かべて、笑い声を上げながら。彼らにだって悩みはあるだろう。笑顔の裏に隠れた、辛い日々もあるかもしれない。
―――でも、それは笑顔で隠せるほどのものなんだ…
みずきは思った。ここ三年間、彼女の顔に笑顔が浮かぶのを見た者はいない。それどころか、彼女は話す事さえも必要最小限にしかしなくなった。
『疫病神!!!』
みずきの脳裏にあのときの叫び声が浮かぶ。それは彼女の頭にこびりついて、いつだって彼女にあのことを思い出させる。いつだって、忘れさせまいとして。
みずきは、さっき捕まえた仲間はずれの桜の花びらを、手のひらで握りつぶした。
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シンフォニー
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空気が答え
女子同士 しましょ...女子×じょし

夕闇
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