レンは、海辺の街で母と一緒に暮らした。
母を護ってくれたのは、この街の領主。レンは何不自由なく、むしろ王宮に居た頃よりも自由に暮らしていた。
王都からの噂で、父王が相変わらずおろかな振る舞いをしているのだ、と聞いた。
海辺の街で、レンはリンの事を思った。
リンに会いたいと思った。
ある夜、レンは酷い恐怖を感じた。
体中が焼け付くように痛み、心が軋むほどの恐怖が襲う。わけもわからず、叫び声をあげるレンに、周囲はなす術も無く見守るしかなかった。
そして、夜が明けて、レンはリンの名を呼んだ。
「リンだ。リンが助けを呼んでいる。」
意識を取り戻したレンは、そう母に言った。
そして、レンは王都へ向かった。
レンが王宮に戻ると、王は当然、レンの事を邪険に扱った。
「此処から逃げ出した者が、今更何をしに来た。」
王座から見下ろし、王はレンにそうつめたい言葉を投げつける。王に口答えをしたもの、刃向かったものは皆、死んでいった。そのことを思い出し、レンは震えた。だけど、リンが呼んでいるのだ。
リンが、助けを呼んでいるのだ。
「リン、リンに合わせてください」
搾り出すようなレンの言葉に、王は首を振る。
「ここから逃げ出したお前にはリンに会う資格などない。リンは、王位継承者。お前はただの餓鬼だ。」
「お願いです。リンに、会わせて、ください。」
冷たい王に、レンはそれでも、言い募った。必死なレンの姿に、不意に王は残酷な笑みを浮かべた。
「レン、もしもお前がただの召使になると言うのならば、この王宮にいることは認めよう。」
今までの立場を捨て、人に傅く側になると言うのならば、許す。
そう王は言った。
まだ子供だったがレンにもプライドがあった。腐ってもこの国の王子なのだ、というプライドが。
でも、リンが呼んでいるのだ。
解りました。とレンは首を垂れた。
「召使になります。だから、リンに、会わせて。」
そう言うレンに、王は嘲るように笑った。
「馬鹿が。たとえ召使になったとしても、会わせるとは言っていない。そもそも、召使ごときが王女に会えるとでも思ったか。」
その言葉に、レンは怒りで身が震えた。しかし、それをこらえてただ、首を垂れた。
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ゆるりー
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