「は? お前の家は俺の隣だろ」
「お母さんと、お父さんは?」
「・・・」
先輩は口ごもった。
なんとなく、先輩は言い辛い。カイ兄と呼ぼう。
そして、カイ兄は小さく口を開いた。
「・・・5年前、事故で亡くなった、だろう?」
「ごめんね、わかってること、聞いちゃって。
家に帰ったって、一人ぼっちだもん。
カイ兄のところにいたいよ・・・」
カイ兄は小さくため息をつくと電話をした。
電話相手はわからないけど。
微かにレンという言葉が聞こえた。
「いいよ、泊まってけ。幸い、カバンも
制服もここにあるし。明日は一緒に学校行くぞ」
「うん、よろしくね。カイ兄」
カイ兄は小さく「風呂入って来い」といわれ
お風呂場に向かう。
小さいころ、カイ兄と入ったな。
・・・でも、誰かもう一人いた気がする。
気のせい、かな?
「フハァー・・・」
何かに安心するかのようにお風呂に入る。
――私たち、付き合うの♪
キンという音と共に、はっきりと聞こえた声。
・・・何の幻聴?
痛い。耳が、頭が、身体が痛い。
「あがったよ・・・」
「早かったな。服、大丈夫だったか?」
「大きいけど、大丈夫」
カイ兄の優しい笑顔は全て安心させる。
私は笑顔のまま、ソファに座った。
一人暮らしのカイ兄の部屋はいたってシンプルで
すごく男の人らしい部屋だった。
「鍋でよかった? 具財適当だけど」
「ん、何でもいいよ」
――ねえ、リン。私と――のこと応援してくれるよね?
また、痛々しく声が響いた。
どこか、聞いたことはあるけど忘れてしまう。
いや、聞いたことはないのだろう。
「いただきます」
笑顔のまま、カイ兄お手製のお鍋を頬張り
その後、普通に眠っていた。
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