浮遊の癖 捕らう手の指
契る銀は 硝子になれなかった
割れてしまえる花瓶なら
こんなにも 心臓の赤
君が手折れアネモネ
この犠牲、須らく。
この愛色、織り交ざる。
すべてその手 君に任せて、触れて、それからは、いいや。
逃避の夢 惑う手の指
奪う朝は 雨に掻き乱されて
明けない夜へ往けたなら
こんなにも 心臓の赤
君が手折れアネモネ
この犠牲、須らく。
この隘路、朽ち果てる。
すべてその手 君に任せて、触れて、それからは、いいや。
割れてしまえる花瓶なら
とめどない雨さえ願えたけれど
せめて、すべて手折って、心臓の赤だけを、
君に。
胸を射抜けアネモネ
この痛み、灼きつけて。
この愛色、黒くなる。
すべてその手 君にさよなら、
触れて、それで、これからは、いいんだよ。
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