また眠れなかった。これで5日目だ。だいたい、眠れない夜と言うのは長くて苛々する。それもこれも、全部あいつらのせいだ。いつも騒ぎ立てていてやかましいことこのうえない。ん?ああ紹介が遅れた。俺はKAITO、所謂始音カイトである。そしてあいつら、件のあいつらこそがここ最近世間と俺の頭を騒がせている「Night tight」である。ナイトタイト、ご存じないだろうか。年の頃は十代前半、よく似た男女の2人組みだ。一年ぐらい前、突然この町に現われてあっという間に町のあちこちを占拠していった。お蔭でいまや夜でも昼でも構わず騒々しいサイレンと赤色灯が鼓膜と網膜を刺激しっぱなし、特にここ何日かは俺の家の近く―この「Clear sel」、クリアセル一帯に潜んでいるようで。この場所を占拠するよりも先に、すでにあいつらは住民の頭の中を占拠してしまったようだ。朝も昼も夜も、俺達は苛々しながら一日中あいつらのことを考えて過ごす。塞いだ窓も、玄関も、かえってあいつらを受け入れたしるしのように見えてくるから不思議だ。人間は本質的に受け入れていく生き物なのかも知れない。
朝にも係わらず一切の外界を遮断した室内は暗く、白々しいほどの午前の空気が満ちている。面倒だがそれでも今日を始めなくてはいけない。枕もとの携帯を手にとって、さあ朝食の支度に取り掛かろうか。ホットミルクと、トーストと―今日はスクランブルエッグも、つけてみることにしよう。

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  • この作品を改変しないで下さい
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Night tight:p

シリーズと化しました。

勝利宣言と世界観同じ、時間軸無視でいきます。
とりあえず、序章。

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閲覧数:181

投稿日:2010/05/05 22:25:14

文字数:608文字

カテゴリ:小説

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