死んだ魚のように 灰色の群れは石棺の河を流れ
私だけが 黒い墓標の影と一緒になって 瀬を分けて
街は 黄昏色
誰ひとり夜を怖れない


この鳥籠は小さすぎて
違う色の翼広げる余地がないんだ
フクラスズメ メジロ押し 小さな頭までがんじ絡め
「そんなおかしな色でどこへ行くの」 燕雀達 潰しあって 世迷い言


逃げたいよ ここから
“ムラ”と言う鎖が私を締めあげる
黒い瞳の天使たちが私に石を投げる、“悪魔め・・・”
わざと含み笑い崩さずに 心だけ泣いた
もうすぐ何もかも終わるんだ、このナイフさえ鎖(それ)に届けば!


紅い日の落ちる夜に 意を決し 垣根を越えた


虚空に浮かぶ 相反概念(ダブル)の星が
今 私の中の獣を目醒めさせる
脱ぎ捨てた羽根を白刃に変えて
加速する 刹那 見えた明日を切り拓く


残酷な思い出は 黒曜石の闇に美しく舞い
人はみな 輝く炎の温もりの中で 夢を見て
街は 東雲(しののめ)色
僕ひとり震えて箱の中


この地図は白くて大きすぎて
頼るべき道標見失いそうなんだ
遭難 盗難 暴走列車 始発(はじめ)と終着(おわり)をふらふら輪廻(まわ)る
「“i=愛”はn番(いくつ)目の駅ですか」迷子はただ 無人駅で 独り言


出ていくよ ここから
ごっこ遊びの枷が手足に重い
新世界(いこく)の人は戸惑う僕に手を、“さあ・・・”
わざと緘黙守りとおし 心だけ泣いた
もうすぐ何もかも変わるんだ、火種(きっかけ)は今与えられた!


蒼い月陰る朝に 鐘を鳴らし 銃を構える


虚空に浮かぶ 表裏一体(ダブル)の星が
今 僕の中の獣を目醒めさせる
蹴り上げた氷片を弾丸に変えて
躍動する 刹那 拒む過去を撃ち砕く


かくて 夜と朝の交差点 二つの星は邂逅した
出逢うべくして出逢った 出逢ってはいけない二人
「一緒にいれば傷つくぞ」「ならば、今から確かめましょう」
鋼と氷は本当に相容れないのか?
温度と色の違う血はともに歩めぬか?
紅と蒼はいつか離れていくのか?


 僕は本当に、ひとりぼっちなのか?
(私)

「サア、旗ヲ上ゲヨ!!」


理論の中だけの“不協和音”を
今ここで重ねあわせ止揚する
熱き刃と冷たい銃交わして
傷だらけのその手で 視界を変えろ


コケの生えた理想(イデア)は
それでも形だけは大きくて
ちっぽけな革命者たちを 拒み 嘲笑う
「二人きりで何ができるんだい?」


「「――――できるさ、君となら・・・」」


虚空に浮かぶ 相反概念(ダブル)の星が
放たれた二匹の獣を導くよ
夜と朝の出逢う刻(とき) 溶け合う水陸を超え
もう 帰る場所すら 引き裂いて――――


虚空に浮かぶ 表裏一体(ダブル)の星が
混沌に二人の在り処を照らすよ
影と光がいつも共にいるように
すべての矛盾を超えて 世界を変える


誰のものでもない大地に祝福のくちづけを
信じるのはただ“人”だけでいい
孤独な革命者たちのために、
今、名モ無キ歌ヲ・・・・・・

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Mizar & Alcor -名もなき革命の歌-

久々の投稿です。無駄に長いですね…
タイトルの英単語は「ミザール&アルコル」と読みます。
「激情モノクローム」と同じく正反対の二人の戦いの歌ですが、主人公の一人は女の子になっています。

ミザールとアルコルは北斗七星にある二重星のことです。大きな星のミザールに小さい星のアルコルがくっついているように見えるのですが、実は同じ方向にあるだけで二つの間はかなり離れているのだそうです。
似ているようで決して似ていない二人、近づきもしないけど、離れもしない、ときに相反しながらも運命に逆らい、お互いを信じる二人をイメージしました。
ちなみにどちらがミザールでどちらがアルコルかはとくに決まってないです。

閲覧数:164

投稿日:2013/08/21 14:29:26

文字数:1,252文字

カテゴリ:歌詞

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