●「つんでれ」で、チャリティ・イベントを

「そうそう、お誕生日おめでとう、テトさん」
「どうもありがとう」
ミクちゃんの言葉に、テトさんは照れて笑った。
きょうは、テトさんのお店、雑貨店「つんでれ」に、ミクちゃんが来ている。

「そうだね、ここでは大体、100人か150人くらいは大丈夫かな。握手会でしょ」
テトさんの兄のテッドさんが、店内を見渡していう。
「ええ、おこがましいけど、私がサインして握手させてもらうの。昨日、予約券を発行したんだけど...」
ミクちゃんが、プリントアウトした予約表を見ながら答える。
「もうじき予約もいっぱいになるみたいなんです」

「でも、すごい人気ね。ミクさん」
テトさんが目を見開いて言う。
「この間、キディディ・ランドでやった着ぐるみのイベント、大盛況だったそうね」
「ええ」
恥ずかしそうに、彼女は答える。


●コラボのアート商品を限定生産

「“はっちゅーね”の新商品を並べて、着ぐるみのはッちゅーねを呼んで、私も店にいたんです」
「そうよ。私もキディディ・ランドに行ったけど、男の子のファンがすごい人だかりでね」
テトさんが、テッドさんに言う。
「で、売上のなかからチャリティにまわしたんです」
ミクちゃんが言う。

「そうですか。で、来週この“スタジオつんでれ”で、もうちょっと大きなチャリティ・イベントをするんですね」
テッドさんが聞いた。
「よろしくお願いします」
「よおし、ガンバロウよ」
そばで聞いていた、ルコ坊が言った。

「それで、チャリティの部分はどうするの?」
「はい。デザイナーや写真家の方に、はっちゅーねをモデルにした作品を作ってもらうんです」
ミクちゃんが説明する。
「それを、限定生産で製品にして、私がサインをして渡します」
「ふぅん」
テッドさんがうなずく。
「製品の数は多くないし、単価も低いから、利益は微々たるもので。でも、予約券の売り上げは全部、チャリティに回すんです」


●テレビが来るって!?

「そうか、困ってる人たちのためにするイベントなんだね」
テトさんたちは、うなずいた。
「それで、なんでも、MHKテレビの方が、イベントの取材に来るんだそうです」
「ほぉう、そりゃ面白い」
テッドさんはメガネをずりあげて言った。
「この試みを、いろんな人に知ってもらえるね」

「あと、ウチの店もちょっと有名になるね」
うれしそうにルコ坊が言った。
「ぜひ、成功させましょう!」
テトさんもうれしそうだ。

「よぉし。では、何かボクも、手伝うことはないかな」
テッドさんも腕まくりをしてつぶやいた。

「あるわよ。兄貴はね。」
テトさんは答えた。
「イベントの日、店の隅でおとなしくしてて下さい。できるだけ、テレビに映らないようにネ!」\( ̄ー ̄

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌 (97) ミクちゃんのサイン会

●人の輪、モノの輪。うつむいてばかりでなく、広げていきたいものです。
●『初音ミク』のチャリティねんどろいど。募金額は1200万円超えだとか。へぇ。
http://jin115.com/archives/51763538.html

閲覧数:47

投稿日:2011/04/03 14:38:57

文字数:1,166文字

カテゴリ:小説

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