そして、いよいよレン王子との面会の当日の朝のこと。
「・・・なんか、執事大丈夫?目の下にくま出来てるけど?」
アリスは執事の顔をのぞきこみました。
「少し雑務が立て込んでたので、つい徹夜漬けしてしまって・・・大丈夫ですよ」
「そう?・・・あんまり無理しちゃだめよ?最低でも、日付が変わる頃には寝なきゃ」
「日付が変わる頃・・・ですか」
その頃には貴女は寝てるんですか、とは聞きたくても聞けれない執事。
「そーよ。執事、少しは私を見習いなさい」
そう言って、胸を張るアリス。何故かその表情は得意げでした。
「分かりました。アリス様を見習います」
素直に言うと、
「・・・そうね。執事が私を見習う、かぁ。うん、そういうのも悪くはないわね」
にっこりと満足そうに執事に笑いかけるアリス。
「さーて、もうそろそろかしら?」
「そうですね、あと5分ぐらいでここへ到着すると思います」
「そう。・・・レン王子って、妙にかっこいいから、もしかしたら貴方を超えてるかもしれないわね」
意地悪く呟いて、執事を見るアリス。
「そうですか?僕は、そうは思わないんですけど」
執事も、爽やかに言い切ってアリスを見つめ返す執事。
「・・・うっ、やっぱり貴方って、なんなのかしら?かっこいい時とそうじゃない時の差が激しいのよねー。・・・残念だわ」
そう言いつつも、アリスの頬は僅かに赤に染まっていました。
「それはどうしようもありませんので、申し訳ありません」
心の中では、やっぱり貴女は結局僕のことが好きなんですね、と思いながらも、表面では冷静な執事を装っていました。
そんな時、
「アリス様、執事様。レン王子が到着いたしました」
メイドの一人の声が、広間中に響き渡りました。
「いいわ。早速、レン王子をここに入れてちょうだい」
アリスは言って、台座の椅子に腰掛けました。
「アリス様」
「何?執事」
「レン王子に、友達以上の感情は抱いちゃだめですよ」
耳元に囁かれた執事の言葉に、
「そんなの、執事よりも心得ているわ。・・・ま、相手がどうだか分からないけど」
アリスは不敵に、返事したのでした。
「・・・」
執事は、それ以上何も言わずに、台座の下に移動して、レン王子が来るのを待ちました。
しばらくして、
「こんにちは、アリス様。・・・僕のことは、覚えてくれていましたか?」
そう言いながらアリスと執事の近くに、レン王子が歩いて来ました。
「レン王子・・・よね。一時も忘れたことはないわ」
アリスは、どこか嬉しそうに言いました。
「そうですか。僕も、アリス様のことは、向こうに帰ってもずっと覚えていました」
レン王子も、どことなく嬉しそうです。
「・・・・」
執事は、表面では優しく見守っているのを装っていましたが、心の中では早く面会が終わらないかと、時間ばかり気になっていました。
「それで、今日は一体何の用事?レン王子がわざわざここへ来るなんて、珍しいわね」
アリスが、すっとぼけると、レン王子は、
「とぼけないで下さい。・・・今日ここへ来たのはアリス様をもらうためです」
やんわりと、でも大胆に、レン王子は今日来た用件を告げました。
「・・・。・・・あー、執事?」
アリスは困ったように、執事を見ました。
「あの、レン王子。申し訳ありませんが、アリス様は、まだ結婚出来る年齢に達してません」
執事が助け舟を出す。
「・・・では、結婚の手前ならいいのですか」
「どういうことでしょうか?」
「交際、とかはだめなんですか」
「だめですね」
「・・・何故ですか」
「だって、アリス様は・・・」
言いかけて、そこで気づき、口をつぐむ執事。
「あれ?続き言わないんですか?」
すかさず、レン王子は追求します。
「・・・・」
執事はアリスに首を振ってから、だんまりを決め込みました。
「・・・・・レン王子、まだ私には交際とか早すぎるのよ。それに、私は家庭は持ちたくはないわ」
執事に代わって、アリスはきっぱりとした態度で声高らかに言いました。
「家庭とかは持たなくていいです。・・・僕は、ただアリス様と一緒に過ごしたい・・・それだけです」
「・・・あらまぁ」
レン王子の真剣な言葉に、アリスは驚いて目を丸くしました。
「執事、どうしよう?私、レン王子のこと何だか意識しちゃいそうだわ」
「やめて下さい。・・・とりあえず、なんでアリス様のことが好きなんですか?話は、それからです」
頬に手を当て、うっとりとし始めたアリスの言葉を、執事はばっさり切り捨ててから、レン王子に質問しました。
「外見から性格まで、全てが好きです大好きですもはや愛しいです」
「・・・・・・・」
どう言ったらいいのか分からず、執事は黙りこくるしかありませんでした。
「・・・ほらぁ、レン王子って、意外とかっこいいこと言えるのね。まるで、どこかの誰かさんとは、お・お・ち・が・い、だわー」
「それで、・・・僕と、どうでしょう?」
「うーん、・・・そうねぇ、そこの執事がだめって言うから、申し訳ないけど無理無理ね」
完璧デレまくりなアリスでしたが、やっぱりきっぱりと断りました。
「・・・・・・」
執事を睨むレン王子でしたが、対する執事はどこ吹く風で全く効果がありません。
「・・・分かりました。今日は、もう帰ります。・・・でも、まだ僕アリス様のこと、諦めた訳じゃありませんから。では、失礼します」
そう言って、アリスと執事にお辞儀をした後、レン王子は身を翻して、広間から出て行きました。
「・・・・・・・・全く、厄介なのが現れましたね、アリス様」
「・・・はぅ、執事までとはいかないけど、レン王子もなかなかかっこいいわね・・・」
「それでも、僕のことが好きなんですよね?」
さりげなく、一番聞きたかったことをアリスにたずねる執事。
「あら、もちろんよ。だって、昨日も抱きしめてくれたんだもの。ま、さすがに脱がないけれど・・・」
「そうなんですか、残念ですね」
にっこりと、執事は言いました。
「あー、でも執事がいなかったら今頃レン王子と付き合ってたのかなー」
「それは、・・・分かりませんけど」
「でもいいわ。執事がいるから、私がいるんだものね」
「・・・アリス様」
「さて、おなかすいたから、メイドに何か作ってもらいましょう?」
そう言って、台座の椅子からぴょんと飛び降りて、執事を振り向くアリス。
「そうですね」
そんなアリスに、執事は優しく笑いかけたのでした。
END ?
不思議の国のアリスとうさ耳&執事+眼鏡verカイト その20
こんにちは、もごもご犬ですこんばんは!
やっぱりアリスと執事の話は書いてて楽しいです><
特に、レン王子とのやり取りとか楽し過ぎました!
っていうか、アリスと執事の話も、もう20話です、びっくりしました!
一体何話くらいで終わることが出来るのか・・・。ま、当分終わりそうになさそうです(笑)
これからも、こんな小説を見て下されば嬉しいです!それでは!
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