一方、ブラグレスP。
「マスター」
バースデーライブのメインテーマ曲の最後の調整をしているブラグレスP。調整する項目を見ながら険しい表情をしていたが、飲み物を持ってきたミクの声を聞いて、表情をゆるめる。
「…ミク、ありがとう」
そういって飲み物を受け取ったが、再び険しい表情で調整を再開した。
「マスター、少し…」
「…ごめんなさい、ミクの気持ちも分かるけど、今が踏ん張り時なの。もうちょっとだから」
ミクの言葉を遮っていうブラグレスP。彼女は長い時間ずっと調整をしており、疲労の色が濃いのはその表情からも分かる。
「はい…」
一方、そういわれ、それ以上は何も言わずに離れるミクだった。
「…これでいいかしら。…ミク」
「はい」
「調整が終わったから歌ってほしいの」
「分かりました」
そういわれ、調整の終わったバースデーライブのメインテーマを歌うブラグレスPのミク。その歌を真剣な表情で聴くブラグレスP。
「…ありがとう。これで良いわね」
そういわれ、ブラグレスPのミクの表情が明るくなる。
「…さっきはごめんなさい、嫌な気持ちになったでしょ?」
自分がミクの言葉を遮ったことを詫びるブラグレスP。
「そんなことはないです。私のマスターですから…」
そういうミクを抱きしめるブラグレスP。
「マスター…」
「ごめんなさい。私がわがままばかりいって」
ブラグレスPが詫びる。彼女自身は、特に曲が絡むと自分の性格が原因でミクを振り回していることは自覚していた。
「私はマスターの"初音ミク"ですから…」
「…」
(ミクの抑えた性格は、私のせいでもあるのよね…)
ミクの言葉を聞いて、我が身を振り返るブラグレスP。彼女のミクを控え目な性格に設定したのはブラグレスP自身ではあるが、彼女自身の曲に対する妥協しない姿勢が、彼女の曲を歌うミクに過度な抑制を強いている部分があることは否めなかった。
「確かに私はあなたのマスターよ。…だけど、そのことはあなたに何をしても良い理由にはならないと私は思っているの」
実体化したミクたちは、感情や意志を有している。だからこそ、ミクたちとの接し方を人間との接し方と同じように考えないといけないとブラグレスPは考えていた。
「マスター、ごめんなさい。…少し、嫌な気持ちになりました」
「どうしてミクが謝るのよ?私だって自分でもああ言われたら嫌だと思うわ。言葉や言い方を選べなった自分が情けないわね。…私も、もっと大人にならないとね」
優しく抱きしめながら、まるで妹をあやすかのように頭をなでるブラグレスP。バースデーライブのテーマ曲を担当するのは基本的に一回で一人である。さらに今年は特別な年であり、テーマ曲を担当するブラグレスPにかかる期待も半端ではない、その一方で、表には出ないことが多いが、選ばれなかった一部のPからの怨嗟の声も例年より大きい。ブラグレスPは後者は可能な限り遮断しているが、全てを遮断できるわけではない。
「…ミクさんのバースデーライブのメインテーマのことで、あれこれいわれることに対する怒りを自分のミクにぶつけるなんて、私もまだまだ未熟ね」
「マスター…」
悲しそうな表情をするミク。
「ミク、そんな悲しそうな顔をしないで。…バースデーライブが終わったら、美味しいものを食べに行きましょう」
にっこりと微笑んでミクに提案するブラグレスP。
「…はい!」
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