「・・・はあっ・・・はあっ・・。・・・ったく、あいつどこいったんだよっ!!」
曲がりくねった住宅街。ここがどこなのかもカイトには分らなかった。
と、その時。
「きゃああああっっ!!」
という幼い悲鳴が近くで響いた。
「ミクっっ!!」
カイトは悲鳴の聞こえた方へ走っていった。

そこにはーー・・・

「ミクっっ・・・!」
「・・カイトっ助けてっっ!!!!」
「・・・・誰だか分らねぇが、その手、放せよっ」
カイトはミクの手を掴んでいる黒ずくめの集団を見据えて言い放った。
「・・・・あなたは・・・・。どこかでお会いしましたね。」
黒ずくめの集団の中から、カイトにはよく知った「博士」が前に出てきた。
「・・・ああ。・・・捕まえにきたのか、俺を」
苦しげに顔を歪めるカイトに、
「はい。さっしがよくて、助かります。」
「博士」は、上辺の笑みを浮かべて、頷いた。
「・・・・ミクを人質にしてか」
「ええ、そうですけど・・・・何か?」
「お前らもつくづくうぜぇな」
「・・・そうですか」
「早く、ミクを放せ」
「・・・取引に応じてくれたらいいですよ」
「・・・・取引?」
「はい。<人格操作>をしてくれたら・・・協力してもらえればミクちゃんとは一緒にいれますよ」
そう言って「博士」はにこりと人のよさそうな笑顔を浮かべる。俺、この笑顔が一番好きだったのに・・・。
「・・・・・・・知るか。もうこんなのには、だまされないぜ」
首を真横に振るカイトに「博士」は悲しそうにした。
「そうですか。・・・仕方ありませんね」
そう言って、指をパチンと鳴らした。
すると、一斉に黒ずくめの服を着た数人がカイトに襲いかかった。
「・・・っっ、卑怯だぞっこの野郎っっ!!」
そう叫ぶカイトの声は、虚しく虚空に消えていった・・・。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

日常的環和 3話 過去悲劇、未来喜劇、ときどきトライアングル その3

な、なんか・・・暗っっ!!

閲覧数:204

投稿日:2009/07/19 13:42:55

文字数:753文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました