『じゃまけんっ! ~望嘉大付属高校 ジャマイカ音楽研究会~』session:21


『『ヨロシクお願いしまーーーす』』
メンバー全員で挨拶をし、定位置に付く。各自チェックを行ない、視線を交わして一呼吸。
衣装は全員、白のYシャツに赤基調のチェック柄ネクタイで上を合わせ、下もネクタイと同じ柄で男性陣とドラムの留佳はスラックス、女性陣はスカートで統一している。持ち時間30分、本来なら15分しか取れないところを留佳と未来の暗躍により無理矢理2枠獲得したのだ。取れたものは仕方がないので、折角なのだから活かそうと選曲も今回はかなり慎重になった。
マイクの前に未来が立つ。そしてスゥっと息を吸い込んで、歌った。
MINMI『The perfect vision』、和製レゲェと呼ばれるジャンルでMINMIのデビューシングルだ。2002年に発売された曲は50万枚のヒットを出し、当時様々なFMラジオが取り上げヘビーローテーションで流されていた曲である。歌と同時に入るギターの調べは耳障りが良く、続いて入るビートのリズム展開がノリの良さを際立たせている。ヒップホップの要素も見え隠れし、テンポが不思議と人を誘う様な雰囲気があってその独特さゆえ聴くと頭に残るサウンドだ。
櫂人のギターに留佳のドラムと久美のキーボード、拍のベースが乗る。櫂人に続く様に芽衣子もギターを弾き、凛と漣は自分の担当楽器のコードがないため、この曲の公式PVのイメージに合わせてダンスパフォーマンスでその場を彩る。芽衣子が未来の声に支える様コーラスする。最初この曲で行き交う人々の心を掴み、足を向けさせる。切れ良く演奏が終了した瞬間、拍手が湧いた。その拍手が終わらないうちにボーカルは未来から漣に変わり、フェードインさせるように久美の奏でるキーボードが心地よい和音で語り出す。そして漣の声が波に乗った。
湘南風『睡蓮花』、漣の歌の余韻に重ね、全員で後押しする様に重ね歌う。2007年に発売された湘南風の6thシングル。湘南風メンバーの若旦那の妻・MINMIをプロデューサーに迎え、トリニダード・トバゴ伝統音楽”SOCA“を起用したサマーチューン。7分を超える楽曲にも関らず、アップテンポで場の盛り上がりを掴むには最高のリズム、聴く側を飽きさせない楽しさが盛り込まれた1曲だ。コーラスリーダーにギターを弾く櫂人を置き、軽快に楽器を響かせながらリズム展開状況でボーカルを交代交代しながら会場の熱をあげていく。漣も交代している時は手に持つトランペットで音色を飾った。中盤の語る様なキーボードとギターが際立つところを櫂人が歌い漣に繋ぐ。再び漣を中心にメンバーで曲をあげていく。終盤入り口で再び櫂人の弾き語りから未来のパーカッションと凛のトロンボーンと漣のトランペットを小さく入れ、歌の終わりに向けて音を全開にしていく。会場を煽り、こちらのリズムに引きずり込むと、熱は更に上がっていった。そして櫂人のメインメロディーに芽衣子のギターをコーラスにして2曲目が終わる。
続けて拍手を向けられ、メンバーは楽器調整をしながら会場に目を向ける。
「どうもジャマイカ音楽研究会でーす」
未来が進行役を受け、代表して挨拶する。次期部長を考慮して3年が与えた役回りだった。
「ジャマイカ音楽研究会はその名の通り、スカ・レゲエ・ロックステディなどジャマイカの音楽や文化について研究し、演奏することを活動の趣旨と活動しています。只今演奏しました曲はー」
物怖じしない未来が順序よく挨拶に続け演奏した曲の解説し、その間に残りのメンバーは後ろの方で後半の演奏準備を続けていた。未来が後ろを確認し、他メンバーとアイコンタクトで確認した後、
「それでは準備も整いましたので、続いて後半戦まいります! 」
未来と交代で留佳がマイクの前に出る。留佳に変わってドラムは櫂人が担当。
「O-K-. Are you ready !!? 」
留佳が会場を更に煽る。そして未来がパーカッションでフェードイン、留佳の台詞に色を持たす。櫂人がドラムでそれに参戦し、出だしを歌い上げる。
後半1曲目はBeenie Man『Dude』、ジャマイカのレゲェDJで“King of Dancehall”のニックネームがあり、日本での活動だと横浜レゲェ祭などが有名。この選曲は櫂人が推した。このBeenie Manが出た2007年の横浜レゲェ際でアーティストを知ったことが起因している。この曲には女性シンガーが参加していることもあり、全歌詞英語のため、留佳が居ることも作用してのリクエストだった。英語に一番耳慣れている櫂人が一緒に歌うことになり、前半の和製レゲェとはまた違った風味で出だしを飾った。凛と漣は合間合間にリズムでアクセントをつける。曲に元々2人の楽器がないため、アレンジを加えての演奏だった。ボーカル2人の綺麗な英語に自然と体がリズムを刻み出すビート音が特徴的で、また留佳の持つ強引さと妖しさが更に行く人々の目を留めた。留佳と同じ国際交流科の生徒達もちらほらと見られ、人が人を呼んで前半とはまた違った熱が集まり始めていた。曲の最後はアレンジで楽器無しの手拍子に変える。楽器とは違った響きが会場に澄み渡り、観客もつられてその手拍子に乗り、音が大きく重なって、留佳のリアクションに合わせ“パンッ! ”と綺麗に揃った音で曲が終わる。直後同時に上がった拍手はリズムとは別の心地よさをメンバーの中に残した。

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「それでは短い演奏ではあったが次が最後だ。聴いてくれ」
拍手の後に留佳観客を引き留める。櫂人がドラムから離れ、交代で留佳がそこに戻った。櫂人は久美と交代でキーボード担当。そして久美がマイクを握った。
「こ、この曲は、活動の一環で制作した曲になりますっ」
タイミングは久美が曲のタイトルを告げた直後、息を大きく吸い込んで久美は思い切り声を張って、
「それでは始めますっ。ジャマイカ音楽研究会オリジナルで『依存少女サタデーナイト』!!! 」
叫ぶ様に会場へ向けて告げる。
漣のトランペットを出だしに、全員の楽器が音を乗り、目の前にはいつの間にか膨らんでいた観客の渦、今にも飲み込まれそうな感覚が生まれる。
全員の奏でるイントロに背中を押される様に久美はマイクを強く握ると、その声を会場に踊らせた。

to be continued...

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • オリジナルライセンス

『じゃまけんっ! ~望嘉大付属高校 ジャマイカ音楽研究会~』session:21

原案者:七指P 様
お預かりした設定を元に書かせて頂いております。
拙いながらではありますが、楽しんで頂けたなら幸いです

2年ズのクラスイベント忘れてた
ついでに岳歩を出すのも忘れてた
うん、次で少し触れよう、そうしよう
今回この文化祭編、一気にあげようと決めていたのでsession:16が終わってから延々と書いて書いて描きためていた
その間、過去あげたヤツを見直していたら・・・
・・・・・・・・・・・・・・・内容はそのままでいいから加筆させてくれ、そして校正(ダメ出)してくれ
手元のデータは気付いたら修正を加えてるけどね、あとコラボページの方にあげる時はそのデータを使ってるから大丈夫だとは思うけど
・・・泣きたくなるよね、自分の文章の酷さってものが読んでて解るから(書く力は愚かしいが読む力は多少あると自負してる嫌な子

この回で使った曲は、コラボページで原案者様があげていた和製レゲェを入れてみた
文化祭だし、知ってる曲で盛り上げるのも良いかなぁと思って
MINMIの曲は自分も知っていたやつを使用、湘南風は初めてちゃんと聴いた
そして折角なのでこのお預かりしている世界設定のテーマソングも拝借♪

閲覧数:94

投稿日:2012/11/19 20:09:53

文字数:2,637文字

カテゴリ:小説

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