次の日、私は学校に早く着きすぎてしまったので、昨日のことを考えていた。


…何故、あんなことを言ってしまったのだろうか。

本当の所、理由は分かっていた。でも、これを認めてしまうと、私がしていると思っている、努力と我慢は、ただの我儘と捉えられてしまう。

もう、こんなことは考えたくもない。
いっそ、部活をやめてしまおうか…。まだ1年の秋なのだから、違う部活に入ることも可能だ。

私は、本気で悩み始めた。


すると、私しかいなかった教室に、一人の女子が入ってきた。
その女子は、私を見ると、明るく笑顔で挨拶してくれた。

「リン!おはよう。どうしたの?いつもより早いね」
私に声をかけてきたのは、グミだった。

彼女は私と一緒に合唱部に入部した、私の親友だ。
「おはよう、グミ。うん…ちょっとね、早く出たい気分だったから…」

これは本当だ。
だって、私の「朝になったらいつも通り話せるかな」なんて甘い考えは通用しなかったのだ。
レンの怒りは朝になっても収まらず、その家の中の空気に耐え切れなくなった私は、いつもより早く家を出てきてしまった。

「…なんか、リン大丈夫?元気がなさそう」

なんで分かったのだろう?
もしかしたら、顔に出ていたのかもしれない…。グミには心配をかけたくないから、気をつけなくちゃ。

グミは、小学校の時からの友達で、中学で同じクラスになってからは、もっと仲良くなった。
部活見学なども一緒に行って、最終的に入りたい部活は二人とも同じだったので、それからは、パートは違うものの、いつも一緒にいる、私の最高の友達なのだ。

「大丈夫だよ!心配かけちゃってごめんね」
私がそういうと、グミは少々間を開けてから言った。
「…心配するよ。この頃あんま部活も楽しそうじゃないし。なんか悩み事とかあったら聞くよ?」

グミは…、なんでこんなに優しくしてくれるのだろう?

グミは1年生で一番歌が上手いが、期待をされているのか、先生や先輩は、他の1年生よりグミに厳しい。私達が出るはずのないことをやらされ、出来ないからといって、1人だけで走らされていることもある。

そんなグミが、「部活が楽しそうじゃない」と言うなんて…。
グミは1人だけ凄く厳しいじゃん。それでも、楽しいの?

私はグミの気持ちが全くわからなくて、私が思っていることなんて、本当にただの我儘に感じてきて…、もうどうすればいいかなんて、わからないよ…。

私は教室と廊下を見回し、まだ人が少ないかを確認した。そして、勇気を出して、グミに訊いてみることにした。


「ありがとう。グミ、少し訊いてもいい?」
私は、あまり人に相談などはしないから、グミは少し驚いた顔をしたけど、すぐに笑顔になって、優しい声で返してくれた。

「うん、何?どうしたの?」
この声を聞いて、少し安心した私は、さっき思ったことを、申し訳なさそうに訊いた。
「グミは、どうしてそんな笑顔でいられるの?」
「…え?」

訳の分からない私の質問に、当たり前な戸惑いの声が返ってきた。
質問を付け足すように、私が続けた。

「…部活で、グミだけ厳しいメニューの日多いじゃん。私だったらあんなの耐え切れない」
「あ、部活のことかぁ。でも、部活が辛いからって、いつでも暗くなる必要はないでしょ?」

ごもっともな意見だけど、なんでそれが出来るのかって、訊いているんだよ。
…なんて言えるはずもなく、今度は別の言い方で訊いてみた。

「じゃあ、なんであのメニューを一人でやりきれるの?」
「えっ、やりきれてなんかないよ!全然出来ないから先生も先輩もどんどん怒っちゃって、次は何をさせられるか、不安しかないし」

やりきれて、いない?やっているじゃないか。少なくとも、私よりは…。
これも顔に出ていたのか、グミが続けた。

「でもね、頑張れる理由としては、友達がいるからだよ!」
「え…?」
「一人だけであんなの出来るわけないじゃん!皆の支えがあるから、頑張れるんだ」

何を、言っているのか良く分からなかった。
だって、私達はグミに、何もしてあげられてないのに…。


ここまで話したら、朝練を終えた野球部の男子達が教室にぞろぞろ入ってきた。すると、それを見て、グミが言った。

「人も多くなっちゃたし、この話はまた今度ね!…最後に一つだけ、私はあの辛いメニュー、一人でやってるとは思ってないから!」


それだけ言い残して、グミは自分の机の方に戻っていった。

たった一人で、やっているのに。どういうこと?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

フィーリング * 2 *

こんばんは^^

今回は新キャラ(?)のグミちゃん登場です><
この話ですでにわかるように、とっても良い子&頑張り屋さんな子です!!!

まぁ話が少し進むの早いかもしれませんが、こんな感じで、多分次回で終わりますね。。
このフィーリングという小説はw

短くしあげたかったので、個人的には順調ですw
そんな感じなので、あともう1話だけ、お付き合いしてくださったら光栄です。。

閲覧数:97

投稿日:2012/10/05 18:32:51

文字数:1,882文字

カテゴリ:小説

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  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    頑張り屋さんなグミはいい子!w
    私が書くと、グミはやさぐれてたり、トラブルメーカーだったり、いい子になりにくい!←

    2012/10/09 23:07:18

    • 亜梨亜

      亜梨亜

      読んでくれてありがとう><

      グミちゃんはどんな性格でもいけるよね!
      でも私が書くとなぜかいつも良い子になってしまうw

      なんか優しい感じがしましてね。。

      2012/10/10 17:03:05

  • 姉音香凛

    姉音香凛

    ご意見・ご感想

    GUMIさんちょういいこやん...!ちょっとリンちゃんとGUMIさんと友達になってくる((ガタッ
    鏡音さんは笑顔がやっぱいいね!仲直りまだすか!

    フィーリングってどういう意味だ...?

    んじゃーノシ

    2012/10/05 18:42:33

    • 亜梨亜

      亜梨亜

      読んでくれてありがとう><

      フィーリング…『気持ち』って意味だった気がする。。
      かなり前に調べたんだけどね←

      センスがなくて困っちゃうよww

      2012/10/06 09:49:05

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