翌日、安田研究室。研究室の中には、マイケルと永井がいた。しかし、以前のように自分の好きなボーカロイドについて言い合う光景は見られない。その原因は永井にあった。永井は朝からそわそわしており、心ここにあらずといった感じだったのだ。そんな永井を興味深げに見るマイケル。
「ユウ先輩、どうされたんデースか?」
「な、なんでも無いわよ」
否定する永井だったが、誰から見てもいつもと違うのははっきりと分かる。そんな会話をしていると、部屋に雅彦がやってきた。入って来て、しばらく所在な無さげにそのあたりをうろつく。しばらくすると、雅彦が研究室にやって来た理由が分かった。
「どうも、ルカさん」
「雅彦君、メンテナンスに来たわよ」
「お待ちしていました。こちらへ」
そういって、メンテナンス室に案内する雅彦だった。
しばらくすると、メンテナンスが終わったのか、ルカがメンテナンス室から出て来た。すぐ後ろにはメンテナンスで得られたデータを見て、結果を確認している雅彦の姿が見える。
「ルカさん、お疲れさまでした」
「異常は無いわよね?」
「ええ、特に交換を要するパーツはありません」
メンテナンスで得られたデータを見ながら話す雅彦。
「そう、ありがとう」
そうやって話している雅彦とルカの元に、何やら綺麗に包装された包みを持って永井がいく。
「…ルカお姉様」
「あら、永井さんじゃない」
「…あの、これ、遅くなりましたが」
そういって包みを渡す永井。
「これは…」
「ええっと、バレンタインのチョコレートです」
その包みを見て、笑顔になるルカ。
「そう、ありがとう」
「あの、甘さ控えめにして、大人の味にしました。ルカお姉様のお口に合うか分かりませんが…」
「私はどちらかといえば、甘さ控えめな方が好きね」
「そうですか、良かった…」
「ナールほど、ユウ先輩が朝からそわそわしていたのは、このためだったんデースね。納得しまシタ」
マイケルがいう。
「まあ、永井君がルカさんにチョコレートを渡すのは、毎年のことだけど」
雅彦がいう。永井は安田研究室に入ってから、毎年バレンタインにルカにチョコレートを送っていた。メンテナンス等でバレンタイン近い日程にルカが研究室に来ない場合は、永井が雅彦に頼んで渡してもらっていたのだ。
「毎年永井さんからはチョコをもらっているから、たまには感想をいわないと、失礼よね」
「そんな…、ルカお姉様からのお言葉なんてもったいない。私は、ルカお姉様にチョコを受け取っていただけるだけで満足です」
顔を真っ赤にしながら話す永井。そんな永井を見て、微笑む雅彦とルカだった。
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