鏡の向こうには、違う世界があるの。

部屋にある大きな鏡の向こう。

そこには、いるはずのないキミの姿。


事故で亡くなった、キミの姿があった。

最愛の弟である、キミ。


キミは幼いころに死んで、この世界の何も知らない。

あたしは、いるはずのないキミのことを

弟の名前で呼んでいた。



死後の世界と繋がる鏡・・・?と最初こそ気味悪がっていた。

でも、キミがいつもこっちを見てた。

何かを言ってることだってあった。


でも、きっとそれはあたしには向けられてない。

それでも、キミと近く遠い距離を保っていた。



とある日、キミ・・・弟の幼馴染で親友だったカイトが家に来ることになった。

事故のことを話したいって。

あたしは正直乗り気ではなかったけど「レンの死の真相を知っている」と言われて、あたしはそれに簡単に乗った。


全てを知る前にキミに向かって笑いかけた。

最高の笑顔をしたつもりだ。

もしかしたら、これが最後かもしれないから・・・


そうしたらキミも最高の笑顔を返してくれた。

事故直前のキミの顔だった・・・



「リン、入るよ」

「あ、カイト。いらっしゃい」



カイトがやってきた。鏡を見せてみたが、あたしとカイトしか見えないようだ。

そして、カイトはポツポツと話し始めた。


「あの時、レンは飲酒運転の車に轢かれ死んだ・・・っていうことになったよな
だけど、違うんだ。
レンは通り魔に刺された後、飲酒運転の車に轢かれた・・・
だから、レンは最初に、あの、小学1年のころの担任に、殺されたんだッ・・・!」


話が要約できなかった。

あの時、両親よりもレンを失ったことを嘆いていた先生が・・・?

気が動転する。キミのほうを見た。


鏡の前でキミはハンマーを握っていた。


「リンッ?! やめろッ!!!!!」


――パリーンッ・・・



その瞬間、鏡の破片が部屋へ飛び散った。

カイトはあたしを部屋から出そうとする。だけどあたしはキミが心配だった。



「レンッ!!!!!!」



思いっきり叫んだら、キミの泣いた姿が見えた。


頭から漏れる、赤い液体も・・・




「リンッ!」





あたしは、カイトにひっぱられ部屋を出た。

そのとき、酷い頭痛がした。

頭を抑えると、キミと同じ位置から血が流れていた。


意識が遠のいていく・・・

もう一度、確認すると、やはりあたしは血が流れていた。


「・・・あ、ああ・・・あああ・・・」




もう一度思い出した。

あの時泣いていたキミの姿は、あたしの姿でしかなかった・・・


ハンマーを握り、鏡を叩き割ったのはあたしだ。


元々、キミは鏡の向こうにはいなかったんだ。



全てはあたしの一人芝居。



弟を亡くしたショックに精神を崩壊した哀れな姉の一人芝居・・・

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鏡の祭典part2

リンside

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閲覧数:179

投稿日:2010/07/27 21:41:28

文字数:1,205文字

カテゴリ:小説

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