ロミオとシンデレラ 第一話【ロミオとジュリエット】

投稿日:2012/01/07 17:22:47 | 文字数:4,632文字 | 閲覧数:4,887 | カテゴリ:小説

ライセンス:

doriko様の原曲→http://www.nicovideo.jp/watch/sm6666016
黒刃愛様のPV→http://www.nicovideo.jp/watch/sm11970012

曲をモチーフにした長編に取り組んでみることにしました。
……とはいえ、注意書きにも書きましたが、「原曲どこいったの」状態になることはほぼ確実です。
既にリンのイメージがシンデレラというより眠り姫だし……。

今回は、折角なので、今まで使ったことのない手法にも着手してみようと思っています。

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TEXT
 

 注意書き

 この作品は、doriko様の「ロミオとシンデレラ」を題材に、黒刃愛様が作成したPVにインスピレーションを受けて書いた小説です。

 さて、この小説は、以下の設定になっています。

 この作品のレンとリンは血縁関係はありません。また、名字が一緒だと話をまとめづらいため(どうしても "No relations!" のフレーズが頭をよぎって……、て、こんなことを書くと年がバレるか)、リンとルカを姉妹にしたこともあり、この作品でのリンの名字を「巡音」にしました。
 話の都合上、デフォルトの年齢だと無理があるため、二人とも年齢が上がって高校生になっています。また、ミクとクオが同学年の友達として登場します。

 それと、作中何人かのキャラは、デフォルトの名字が無いため、作品用に名字を設定しました。以下の通りとなります。

 グミ――活音メグミ
 グミヤ――躍音グミヤ
 リリィ――蜜音リリ

 後、ここから先は設定変更というより、「この話のための設定」ですが。
 リンが超お嬢様(PVの彼女の家がえらくゴージャスだったので、お嬢様ということにしてしまいました)学校に車で送り迎えしてもらう、なんてことが日本の高校で可能なのかどうかは知らないのですが、そういう設定にしましたので、突っ込まないでください。
 リン、レン共にかなり真面目なキャラに。その反動でミクははっちゃけたキャラになってしまいました。全員、今までに書いた話とは全く性格が違いますが、これはわかっててやってることです。

 そして、かなりの長編になると思います。いや、なんというか、先が見えない……。

 更に……
 書いているのが私なので、プロットの段階で、物語が原曲を離れて明後日の方向に行ってしまいました(汗)って、これ、いつものことか……。

 以上の点を踏まえ、「それでも構わない」という方のみ、この先をお読みください。


 ロミオとシンデレラ 第一話【ロミオとジュリエット】


 ロミオが祭壇に近づいた。横たわるジュリエットに駆け寄って抱き起こし、揺さぶる。だけどジュリエットは動かない。ロミオはジュリエットを抱いて悲嘆にくれた後、動かないその身体を祭壇の上に戻して、両手を胸の上で組ませる。そして毒の瓶を取り出して飲み干し、ジュリエットに口づけてから、その場に倒れる。
 入れ替わりにジュリエットが目を覚まし、起き上がる。倒れているロミオを見かけ、笑顔で駆け寄る。恋人が死んでいることにはまだ気づいていない。彼に触れて、死んでいることに気づく。表情が絶望へと変わる。落ちている短剣を拾い上げると、それでためらうことなく胸を刺し、崩れ落ちる。崩れ落ちながら、ロミオの手を握る。
 ジュリエットが動かなくなり、幕が降りる。割れんばかりに鳴り響く拍手。再び幕が上がり、舞台の上を、出演者が一人一人現れて、笑顔で頭を下げる。
 わたしは鳴り響く拍手の中、手を叩くこともせず、ただ舞台を眺めていた。


 カーテンコールも終了し、ホールは明るくなった。舞台を見ていた人々は、席を立ってホールから出て行き始める。そこかしこから、終わったばかりの舞台の感想を話す声が聞こえてくる。
「衣装が素敵だったわね」
「でも、『ロミオとジュリエット』だと、やっぱりちょっと地味じゃない?」
「オーケストラの音が物足りなかった」
「そう? あれくらいで良かったと思うけどな」
 わたしはただ黙ってそれを眺めている。一人で来ているので、あれこれ言う相手はいない。それにしても人が多い。休日だから仕方がないか。しばらく待っていると、ようやく通路が適度に空いてきた。プログラムを手に、立ち上がって出口へと向かう。
 ロビーに出た時だった。突然、わたしは強く押された。誰かがぶつかったのだ。急なことだったため、わたしはバランスを崩し、床に勢いよく倒れこんだ。
 驚いて辺りを見回すが、わたしにぶつかった誰かは、既に立ち去ってしまっていた。小さくため息をついて、立ち上がろうとする。その時、左の足首に激しい痛みが走った。
「……痛っ」
 どうやら、さっき倒れた時に変な風に捻ってしまったらしい。足首は、ずきずきと遠慮のない痛みを訴えてくる。が、床に膝をついてうずくまっているわけにもいかない。わたしは無理を押して立ち上がろうとした。その時だった。
「大丈夫?」
 誰かがわたしに声をかけてきた。そちらを向くと、わたしと同じぐらいの年齢の男の子が立っている。わたしを見て、驚いた表情になった。
「……あれ、巡音さん? どうしたの?」
 近づいてくると、わたしの近くに膝をついてしゃがみこんだ。わたしの名を知っているということは、知り合いなのだろうが……顔に見覚えがない。
「ごめんなさい。誰だったかしら?」
 向こうはやや呆れた表情になった。
「同じクラスの鏡音レンだよ」
 わたしは目の前の男の子を顔をもう一度見たが、やはり思い出せなかった。とはいえ、それをそのまま言ったら失礼になるだろう。
「ああ、ごめんなさい……制服じゃないと感じが違うんでわからなかったの」
 鏡音君はふーんと呟いて、わたしに「で、どうしたの?」と訊いてきた。
「転んだ拍子に足をくじいたみたい」
「立てそう?」
「……多分」
「俺につかまりなよ」
 手が差し出される。わたしは差し出された手を取ろうとして、ためらった。そうしていいものだろうか。
「遠慮しなくていいって。足、相当痛いんでしょ?」
 重ねてそう言われたので、わたしは鏡音君の手を取った。鏡音君はわたしの腕を自分の肩に回すようにして、わたしを立たせてくれた。
「じゃ、俺に体重かけて」
「え……?」
 わたしが戸惑っているうちに、鏡音君はわたしを支えて、ロビーの椅子に連れて行ってくれた。
「ちょっと待ってて」
 そう言って、鏡音君はどこかに行ってしまった。わたしは、左の足首に触れてみた。……腫れ始めている。どうやら、かなりひどく痛めてしまったようだ。
 どうやって帰ろうか、と考えていると、鏡音君が戻ってきた。手に、氷の入ったビニール袋を持っている。
「ほら、これで足冷やしなよ」
 わたしはビニール袋を受け取って、足首に当てた。冷たくて気持ちがいい。
「ありがとう。どうしたの、これ?」
「そこの売店でもらってきた。足痛めて歩けない子がいるって言って。……巡音さん、これからどうする?」
 そう言われて、わたしは、迎えの車がもう来ているだろう、ということに気がついた。
「迎えが来る予定になっているの。だから、そこまで行ければいいんだけど」
「迎え? そう言えば、巡音さんのところって確かすごかったよね」
 こういう時は、どう答えればいいのだろう。……わからない。わたしは口ごもった。
「じゃ、そこまで送ってくよ」
「え……いいわよ。鏡音君に悪いわ」
「けど、その足じゃ歩くのも辛いんじゃない? 俺なら平気だから気にしなくていいよ」
 わたしは少し悩んだ結果、鏡音君の申し出を受けることにした。携帯で連絡すれば来てくれるのはわかっているけれど、劇場のロビーで大騒ぎされるのは見たくない。
「本当にいいの?」
「くどい。男に二言はない」
 わたしは鏡音君に助けてもらって、もう一度立ち上がった。
「巡音さん、プログラム忘れてる」
 わたしは、ああ、と言って、プログラムを手に取った。それから、彼の肩を借りて、出口へと向かった。
 劇場の外に出ると、少し離れたところに、迎えの車が来ているのが見えた。運転手がわたしの姿を見て、血相を変える。……だから嫌なの。
「リンお嬢様っ! どうなさったんですか!」
「……転んで足を捻ったの。歩くのが辛くて困っていたら」
 と言って、わたしは鏡音君の方を見た。
「助けてくれたのよ」
「そうですか。お嬢様がお世話になりました」
 運転手が頭を下げる。
「困った時はお互い様ですから、気にしなくていいですよ」
 わたしを車の後部座席に乗せると、鏡音君は「それじゃあ、また明日学校で」と言って去って行った。運転手がわたしを見る。……ああ、鏡音君に口止めしておけばよかった。
「お嬢様、お知り合いで?」
「高校のクラスメイト。会ったのは偶然よ。別に待ち合わせしていたわけでもなんでもないから、勘違いしないで。待ち合わせしていたのなら、むしろ送って来ないわ」
「……そうですか。お嬢様がそう言われるのでしたら」
 わかってる。この人は悪くない。雇い主である父にきつく言われているだけのことだから。わたしはため息をついた。
「家に帰る前に病院に寄って」
「かしこまりました」


 休日診療している病院で診てもらったところ、かなりひどい捻挫だと言われた。ギプス……とまではいかなかったけれど、厳重に足首を固定されてしまう。何だか気が滅入ってくる。
 手当てが終わったので、家に帰った。こういう時は広い家が恨めしい。足を引きずりながら居間に入っていくと、ルカ姉さんが本を読みながらお茶を飲んでいた。
「ただいま、ルカ姉さん」
 ルカ姉さんは本から顔を上げて、わたしを見た。
「お帰り、リン。オペラを見に行ってたの?」
「今日見に行ったのはオペラじゃなくてバレエよ」
「……あら、オペラかと思っていたわ。演目は何だったの?」
「『ロミオとジュリエット』」
 説明の必要がないぐらい有名な悲劇。有名な作品だから、オペラもあるし、バレエもある。
「シェイクスピアの悲劇ね」
「ええ」
 ルカ姉さんはそこまで話すと興味を無くしたのか、視線を広げていた本に戻した。ウェーブのかかった長い髪がふわっと揺れる。今日は休日でずっと家にいたはずなのに、その格好には糸一筋の乱れもない。
「ルカ姉さん、お母さんは?」
「多分キッチンでしょう」
 ちょうどその時、お母さんが部屋に入ってきた。わたしの足を見て、表情を変える。
「お帰りなさ……リン、どうしたのその足は!?」
「転んでくじいたの。全治一ヶ月だって。ただの捻挫だから心配しないで」
「ならいいけど。あまり無理しないで、今日はもうゆっくり休みなさいね。リン、あなたもお茶にする? クッキーが焼いてあるの」
 お母さんの趣味はお菓子作りだ。最近はレシピ本も出したりして、ちょっとは話題になっているらしい。
「じゃあ食べる」
 お母さんは、ちょっと待っててね、と言って、奥へと引っ込んでいった。……我が家は見てのとおりの豪邸で、お手伝いさんも複数いる。頼めばお茶ぐらいすぐに来るけれど、お母さんはこういう時、自分で動きたがる。
 まもなく、お母さんがお盆に紅茶のカップとクッキーを入れたお皿を乗せて戻って来た。
「たくさん食べて……と言いたいところだけれど、夕食が入らなくなっても困るから、程ほどにね」
「わかってるわ。いただきます」
 お皿の上には、様々な形の型抜きクッキーが乗っている。猫や、鳥や、花の形。どれも色とりどりのアイシングがかかっている。わたしは猫の形のクッキーを手に取った。……当たり前だけど、甘い。
 わたしが小さい頃から、お母さんはこういう甘いお菓子を作るのが好きだった。小学校の頃は、帰宅すると甘い匂いが漂っているのが、純粋に嬉しかった。たとえそれを口にするのがわたし一人でも。

しがない文章書きです。よろしくお願いします。

作品へのコメント1

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    ご意見・感想

    こ れ は 良 作 の 予 感 ! 原曲どこ行ったし的な展開おkです! むしろフリーダムに展開して原曲の面影が原型とどめなくなるような展開でもおkです(※おい どちらにせよ個人的に惹かれるものを感じました!
    続き、楽しみにしています。では!

    2011/07/16 02:45:59 From  日枝学

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    メッセージのお返し

    日枝学さん、こんにちは。感想ありがとうございます。
    一応ベースとなるものがある以上、あんまりイメージとかけ離れたものを書くのは、個人的にちょっとまずいと思うのですよね。まあ、どんなに頑張っても、結局私のレベルに応じたものしか出てこないわけですが。
    続きも頑張って書きますので。

    2011/07/16 23:58:28 目白皐月

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