あたしは家を飛び出した。

行く当ても無いけど、自分の足が目指しているところはレン君の家だった。


ピーンポーン

チャイムを鳴らしても、家の中で虚しく響くだけ。

「そうだ、今日学校なんだ・・・」

がっかりしてコンビニでも行こうかと思ったとき、

ドドドドドっという音が家の中でして、

「リン！！」

凄い勢いでドアが開いた。

「ぇ、レン君、学校は」

レン君は私の大好きなあの笑顔で「サボリ」と言う。

右頬には、昨日殴られた跡がくっきり残っていて。

「レン君、ごめんね・・・」

「気にすんな。入れ」

「お邪魔しまーす」


＊


「昼飯食った？」

「ううん。まだなんだぁ」

「腹減ってる？」

「食欲、ないし」




「じゃあ、腹空かせてやろうか？」




「え？」


レン君は私を軽々と持ち上げて、上の階へ上がる。


「え、ちょ、何？」


お姫さま抱っこなんてされたのは勿論初めてで、嬉しいような恥ずかしいようなで顔が真っ赤に染まっていく。


おろされたのはレン君の部屋。


「リンって俺のこと呼び捨てないよね」


「・・・はい」


「呼び捨てで呼んでよ」


「え、何か・・・君のほうがいいかなぁって」


「俺のことキライ？」


それを聞くなんて反則・・・


答えひとつしかないじゃん。


「だっ・・・」


じっと答えを待つレン君を見る限り、言い切らなければならないらしい。





「だいすきだよっ、れ、レ・・・ン」





すっごい小声で言う。だって恥ずかしいし！

でもちゃんと聞こえたはず・・・


「え、何？聞こえない」


嘘。ちゃんと聞こえてたはずでしょ？


「むぅ・・・レン君の意地悪っ」


「はーい不合格ー」


あ・・・「君」つけちゃった(泣


「じゃあ、お仕置き」