1~1925から始まるストーリー




流れる雲の下、街の雑踏。

今日も俺はそこに立ってギターを握り歌を歌う。

家が今日差し押さえられた・・・。

仕事はしていない。
しいていえばストリートミュージシャン。

「いたいけなモーション~振り切れるテンション~」

いつも路上でやるときはこの歌から始める。

なにか(ラジオ?)で聴いてから大好きになって、自分でコード進行作って歌っている。
実はこの歌の題名忘れてしまったんだけど・・・。

「意外~意外~いけるものね~」

Am、Em、F、Cとコードは比較的簡単だ。

「繰り返す問答~答えなら~いだっ」

急に足を強く踏まれて歌が途切れた。

「誰だよ、痛えなぁ」

目線で足を踏んだやつを探す。・・・いない。

「勝手に1925を歌うな!!!」

真横から耳をつんざくような女の声がした。
そっちを向いてみると、可愛い制服の女子高生が立っていた。

「誰だよお前・・・」
「誰だよ、じゃねーよ、歌下手くそなくせに1925歌うなっつーの!!」

可愛いのは見た目だけだな、女子高生こわぁ。

「てか、1925ってなんだよ?」
「てめぇが歌ってた歌だよ、つーか1曲目から1925とかマジないし」

この歌1925ってんだぁ、そうか~。なんて思ってると。

「ちょっと来て」

そう言ってがしっと腕を引っ張り、どこかに連れて行かれそうになる。

「ちょ、待て、ギターをケースに入れてから・・・」

腕を振り払ってギターをケースに入れる。

「早くして」
「はいはい、今すぐに・・・」



なんとかギターケースその他もろもろを手に持った瞬間、また強引に腕を引っ張られた。

親父狩りだ(俺は親父じゃないけど)殺られる・・・。

「一体どこ行くんすか?」
「来ればわかる」

うわぁ、確定だ。えっと・・・辞世の句は・・・。

アホなことばかり考えながら引きずられていくと、どんどん住宅街に景色が変わってく。

「いや、本当どこ行くんすか?」
「あたしんち」
「は?」

監禁か、やられた・・・。

抵抗しても腕を離してくれない。暴力に訴えるわけにもいかない。

おずおずついていくと、あるアパートの前で女子高生の足が止まった。

「ここの104、覚えておくように」
「はい、もうどうにでもしてください」

とぼとぼと部屋に入っていく二人。その様子は援交にも見えるし、逆に捕まって警察にしょっ引かれるようでもあった。

「ここに座る」
「・・・はい」

部屋はワンルーム、そんなに広くない。
周りには女の子らしい空間、甘い匂い。クラクラする。

猫のクッションに座らされた俺は、向いに座った女子高生をジト目で見て言った。

「で、何が目的?」
「あれを見て」

彼女の視線の先にはギターがあった。

「・・・っ」

驚いた。あれはギブソンJ45Mじゃねぇーか!!!!

「あ、あ、あれは!?」
「ギターだけど、何?」
「なんで、お前あんな高いやつ持ってんだよ!!」
「へぇ~高いんだあれ」

ギブソンと名の付くギターはただでさえ高いのに、J45Mはもっと高い。数万じゃ買えねーよ。
俺だってヤマハのエントリーモデルだってのに。

「で、お願いがあるんだけど・・・」
「なんだよ」
「住み込みで1925完奏できるまでギター教えて欲しいの」
「は?」

もうさっきから、は?とかしか言ってねぇ。

「いや、ギター教えるのはいいんだけどよ、なぜ住み込みなんだよ」
「これ見ちゃったから・・・」

女子高生はさっと一枚の紙を取り出した。そして、にやっと悪巧みを考えたように微笑んだ。

「差し押さえ書ぉ~えーっと・・・」
「こら、読むんじゃない。つーか、俺のポケットから抜きやがったなてめぇ!!」
「とにかく、住むとこもなんにもないんでしょあんた」
「・・・ま、そうだけどよ」
「うちに住めばいいの、三食付き、あたし一人暮らしだから」

もう突っ込みどころ多くて話にならねえ。

「あたしは皆東三久。カイトとミクの名前もらったみたいで親に感謝してる」
「俺は三橋連」
「きゃー、レンくんなんだぁ。なんか奇遇」

カイト?ミク?レン?突っ込むのめんどくさいからもういいや・・・。

「1925・・・だっけ?あの曲完コピできるまでだぞ、ここにいるのは。ま、簡単だから一泊ぐらいだろうけど」
「やったぁ、絶対だよ」

てか、最初会った時と態度ちがくね?



こうして俺は家を追い出された挙句・・・。
追い出されたその日に初対面の女子高生、皆東三久と住み込みで1925を教える事になったのである。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

1925から始まるストーリー~その1~

1925から始まるストーリーを読んでいただきありがとうございます!!

1925、いい曲ですよね~。大好きです。
そんな、1925を愛してやまない俺が作った、1925を舞台に取り巻く人たちを描いたラノベ小説です。

ちなみに俺はカラオケに行くと1曲目に1925を予約して歌います。

この作品へのご意見、ご感想喜んでお待ちしております!!

1925から始まるストーリー
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閲覧数:325

投稿日:2012/04/29 19:52:28

文字数:1,915文字

カテゴリ:小説

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