肖像 忘却
想念 箝制
遠くて暗くて独りの海辺で
光りて探すは忘れた何かのかけら
命を賭せたら
もう何かを恐れず済む
暗闇つんざく程の速度で
突き刺せる墓標があれば
命を賭せねば
ただ何処にも残らず消える
数多の光を排し
この身を指し示す座標があれど
耳の奥底 いつか聴いた歌が囁いた
溢れる記憶 あの日の声が呼び起こす
最後の夏の香り
斯くも脆きこの身儚き
ひぐらしの音は揺籃歌
肩を抱いたのは誰そ彼れ
さも祓えぬ呪いの様
命を賭せども
この願いは叶うべくもなし
燃え滓程度の命
少しの足しにも成れぬのだから
好きなものも嫌なものも
掴むほどに手から零れ
あれもそれもどれもこれも
なにもかにも忘れて
いつの時も支えとした
父も母も友も全て
あれもそれもどれもこれも
なにもかにも忘れて
好きなものも嫌なものも
握るほどに手から零れ
あれもそれもどれもこれも
なにもかにも忘れて
いつもいつも見ていたのは
いつもいつも笑う誰か
あれもそれもどれもこれも
なにもかにも溶けて
遠くて暗くて独りの海辺で
光りて探すは大事なかけら
然れど
斯くも脆くただ崩れ滅ぶこの身は
今際の際まで何を抱いて
息を止めたのだろう
空振 捻転
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