手紙 憂鬱な死神
突然ボクの目の前に現れた少女は、歌うことが何よりも好きで、ボクの灰色の日々を鮮やかに染めてくれた。
そんな日々がずっと続く、そんな予感すら漂い始めたある日、少女は帰宅したボクを覚悟を決めたかのように、泣き崩した目でまっすぐにボクを見た。そして、くしゃくしゃに握り締めていた手紙を僕に握らせると、ボクが声を掛ける間もなく、大きな鎌で自分の首を切り落とした。
少女の体は消え失せて、ボクの元には手紙と大きな鎌だけが残った。
少女が残してくれた手紙には―
ごめんね。べつに隠しているつもりは無かったんだけど、私は死神だったんだ。
お話の結末に聞こえないフリをして、知らないフリをするのも、もう限界。
いいかげんに、消えなくちゃならないんだ。君の人生を、リセットしてあげる。
私は全てを終わらせることができるけど、それはすごく苦しいんだ。
この苦しみは君には分からないと思う。制裁を望むならお望みのように、この世から消し去りましょうか?
そんなこと、できるはず無いでしょ。
君が居なくなったら何もできないし一人は寂しすぎるから私も消えるわ。
でも、死神だから、君と再会できるか以前に、ちゃんと死ねるのかも分からないんだ。
だから、確実に一緒に居られる方法は君も死神になるしか無いんだ。
でも、全てをリセットできる、なんて力は要らないよ。
死神でいることは本当に悲しくて、苦しいんだ。だから、君に死神になんてなって欲しくない。
君に会えなくなるのも嫌だよ。たとえそれが運命だとして先に消えれば君は死なないはずだ。
だから、私が消えるわ。君はどうか生きて、私のことなんて忘れて、幸せになって欲しい。
さようなら。
―そう書かれていた。
ボクは少女が残していった鎌をクローゼットに、手紙は机の引き出しに仕舞い込んで喪失感に包まれたまま時間に押し流されるかのようにして日々を過ごした。
でも、心にぽっかりと開けられた穴は何をしても塞がることは無かった。
ボクはそれに耐え切れなくなって少女が残してくれた鎌を使って首を切り落とそうとした。
でも、浅い傷を付けることしかできなくて、鎌と手紙をしっかりと抱いて、住んでいるマンションの屋上から飛び降りた。体が地面にぶつかる寸前に、ボクは誰かに体を掴まれた。その誰かは、ボクが一番会いたかった少女だった。
「どうして、こんな事をしたんですか?せっかく、助けたのに・・・」
少女は泣いていたけれど、すぐに泣き止んで笑ってくれた。
「でも、良かった。また一緒に居られる。」
そう言ってくれた少女を抱きしめようとして、ボクは鎌と手紙を持っていないことに気がついた。
ボクは慌てて足元を見たけれど、そこには何も持っていないボクの体が血溜りに沈んでいるだけだった。
「これ、ですよね?」そういいながら少女が差し出したのは、探している鎌と手紙だった。
「これはこの世界には存在できないものです。もうすぐ、消えてしまうはずです。」
そう言い終わると、鎌と手紙は色が薄くなって、少女の体と同じように消えていった。
そして、ボクと少女は新しい世界へと踏み出した。
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Artistrie
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ご意見・ご感想
あめ。
ご意見・ご感想
こんにちは、おひさしぶりです
あめ。です
語り部シリーズではなくて、手紙、ですか。
良いと思います^^
もう、何回も読んでしまいましたよ
文鳥さんの文が、素敵過ぎて本当に好きです
日本語おかしいですね
厥では失礼します。
2010/06/19 10:27:49