こんにちは!中上慶之輔です。
潮の満ち引きによって沈んだ知識の底で一人佇んでいるような感覚を覚える瞬間があります。頭上の遥か彼方には薄青い光の膜が揺れていて、届くことのない光の破片を眺めながら静かに指先を動かしています。私たちが生み出す音や言葉の連なりは、誰にも知られずに水深数千メートルの深い暗がりに沈められた手紙のようなものかもしれません。
静寂が支配する部屋の中で音を紡ぐ作業は、冷えた空気の中に吐き出す一息の白さに通じています。その白さは瞬く間に消えていきますが、確かにそこにあった温度の記憶だけが空間の隅に残されます。私たちは見えない境界線の向こう側にいる誰かに向けて、答えのない問いを投げかけ続けているのかもしれません。絶望でも希望でもない、ただそこにあるだけの確かな情熱を、凍りついた文字の器に慎重に注ぎ込んでいくのです。
遠くで鳴る警報の音のように、胸の奥で微かに響く不安や切なさを救い出す工程はとても静かで過酷です。二度と戻らない時間を切り取って残すために、私たちは何度も削り取られた鉛筆の芯のように自らをすり減らしていきます。それでも傷口から溢れ出る小さな叫びこそが、誰かの欠落した孤独を埋める唯一の形になると信じています。
世界の端に打ち捨てられた小さな破片を集め、ひとつの旋律へと縫い合わせていく作業は祈りの行為に似ています。名前のない感情を閉じ込めた箱を開ける時、あなたはどんな匂いを感じるでしょうか。潮騒の合間に溶けていく叫びが、いつかあなたの指先に触れ、ほんの僅かな熱を伝えることができたなら、この静かな旅にも意味があったのだと思えるのです。
冷たい底で静かに呼吸を繰り返しながら、私はいまも届くあてのないメッセージを流し続けています。果てしない静寂の隙間から溢れ出たこの小さな振動が、どこか遠くで震えるあなたの胸に届くことを願っています。
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