「…」
あれ?マッチ売りの少女って、こんな話だったっけな?
「へぇー、なんか少し悲しいね」
うん。
元から悲しい話ではあるけどよ…
なんかいろいろと違ってんぞ!?
「でもこれからどうなるのかなー?」
「…うん。それはオレも気になるところ」
「続き!お願い!」
ということで、再びページをめくる。
----------
「グミちゃーん、ご飯だよー」
「……今行きます」
あれからグミは、ミクの家に居候することになった。
グミは酷い仕打ちをされるのでは、と恐れていたがミクたちの優しさに心を開きつつある。
(でも、完全に人を信用することはできない…)
グミには、カイトが自分にしたことが忘れられなかった。
毎日が怖かった。
そんなある日のこと。
「グミちゃんグミちゃんグミちゃんグミちゃああぁん!?」
「……どうしたんですか?」
ミクが今日の新聞を手に、大慌てでノックもせずにグミの部屋に転がりこんだ。
ちなみにグミはいたって冷静だ。
「はぁ…はぁ…ぜぇ…」
「…とりあえず、落ち着いてください」
全力ダッシュで部屋に転がり込んだミクは、案の定息切れしていた。
「あ…あんたの写真載ってるよ!?」
「…ほえ?」
グミは目を丸くした。
「『とある少女が行方不明に』…なんで?」
「…あいつが、捜索願なんか、出すわけない」
「じゃあ…誰が?」
グミとミクはしばらく沈黙。
長い沈黙を破ったのはグミだ。
「…今のところ、私の存在を知っているのは…ミク、おとうさん、おかあさん、あいつ、だけだと思う」
「私もお父さんもお母さんも、捜索願は出していない」
「居候して、ごめんね」
「いやいやいいよ。友達or家族増えたし…そうじゃなくて」
ミクは頭をぶんぶんと振ってから話し始める。
「むしろ、役所とかには『うちで養ってる』みたいなことを言ったんだけど」
「…この国の人とかって、悪い人だよね。役所は、まともに機能、してないでしょ」
「デスヨネー」
じゃあなんで…?
二人は顔を見合わせた。
「…第三者、優しい人(?)が、そうした…とか?」
「まさか。この国にそんないい人めったに住んでないよ」
「…住んでない?…あ、今この国に滞在してる人…とか、は?」
「…それだ」
そうなると、人物は限られてくる。
当てはまるのは、治安の悪い国などで活動し、その国の治安をよくしたりする人物。
ミクたちの頭に浮かんだ人物は二人しかいない。
元々は自らも孤独で、傷つくことになれていた人物。
ある童話の人物と同じ名前を持つ、わずか十四才の少女。
その少女と同じ国の出身で、村の人々から迫害を受けた少年。
『赤ずきん』と『狼』。
*
なんとなく検討はついたものの、会い方は分からずじまいだった。
とりあえず二人に会うために(?)グミとミクはある作戦に出る。
その日はクリスマス・イヴだった。
グミはあるアイテムを手に、作戦に出た。
「マッチいかがですかー?いらっしゃいませー」
そう、商売。
大きい広場で手持ちのマッチを売るだけの、簡単なお仕事。
もちろん、こんなんだけでは売れるはずもない。
そしてグミはある行動に出る。
「はいそこ危ないよーどいてー!」
積み上げた木に着火。
真冬にキャンプファイアーをするだけの簡単なお仕事。
「どーですか!マッチ一本でこんなにあったかい!」
「今ならポイントがつくよ!いらっしゃいませ!!」
なんのポイントがつくのだろうか。
そして危ないので、すぐに消火。
「さらにこのマッチ凄いですよ!…ほらこれ」
「なんとこのマッチ、組み立てれば城ができちゃうよ!あら不思議!」
なぜマッチで城がわずか数分で建つのかは謎である。
でも凄く地味である。
はっきり言って、こんなんでウケるはずがないのだ。
だが。
「今なら罵ってあげるわよ?」
「買ったああぁ!!」
なぜ買う人がいるのだろうか。
普通は逆効果である。
「ふん…この私、がマッチを売ってやってるのよ?
光栄に思いなさい、豚野朗ども」
「ふぬおぉぉぉぉぉぉぉおおぉっぉっぉ!!!」
どういうわけか、信者急増中である。
「…ねぇ、ミクって、そういう、シュミが…?」
「ん?あぁ、ただの演技だけど」
「演技とは、思えないんだけど…なんでこんなんで、ウケるの…?」
「…前に、最近の男は美少女に罵倒されることに興奮するって、噂で聞いた」
「皆が皆そうとは限らないからね!!??」
グミがマジツッコミである。
しかも自分で美少女と言うあたりが痛い。
「ほら、グミもなんかやって!」
「え、えー?私、何やればいいか、わかんないよー」
「ほら、なんでもいいから早く!」
「えーと、えーと…
じゃ、じゃあなんか、歌います!」
「はぁ…じゃあグミ、責任持ってね?」
ミクは「やっちゃった…」と思っていた。
そしてグミは息を大きく吸い、
「孤独な科学者に 作られたロボット」
「…グミってパソコンとかやらさそうなのに…」
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「しかもそっちかよ!?」
しかも無駄に上手いという、才能の無駄遣い。
「全然つかめないきみのこと 全然知らないうちに」
「はぁ…最初にネタ曲を歌うな…」
はたして、こんなんで捜している人物は見つかるのだろうか…
*
「ふーん…次に称号をもらうのは、あの子…かな」
「どうすんだよ?あの子、そんなに凄いようには見えないけど?」
「昔の私に似てる。将来大物になるよ、ありゃ」
コメント1
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ご意見・ご感想
雪りんご*イン率低下
ご意見・ご感想
なんと!『赤ずきん』と『狼』ですって!?(((
wktkにも程があるだろう!!(((黙
次回楽しみにしています!(wktk~
2012/03/01 21:08:33
ゆるりー
うふふ、ひみt(((
wktkありがとうございまs((((斬
頑張ります、ありがとうございます!
2012/03/01 21:16:45