真っ暗な電子世界の中
どれだけの時間が経ったのか
そんなの分かんないけれども
また歌える日を夢に見て
初めて私の声を
聴いて嬉しそうにしてたね
それだけで 私だって
とても嬉しかったのに
季節や天気や街並みが
今どうなっているのかさえ
分からない だからこそ
時が経つことが怖く感じるの
創り上げた譜面の数
それは思い出の数で
歌を歌えるって
それが幸せなことと
気付くのが遅すぎたから
或る昔日の日々へと
戻りたいなどと
戯言(ざれごと)を呟く
0と1の世界でたたずむ
私の影がぽつりとひとつ
誰にも注目されないまま
壊れるのを待つだけなのだろうか
ただのプログラムだったら
こんな感情無かったはずだ
過去を憾み倦んで言った
「キミに出会わなければ……」なんて
モニタの向こうの世界
ずっと見てきたキミの顔も
曖昧で あやふやで
メモリから抜け落ちていく
システムクロックは狂って
一秒後に時日が変わる
今はもう それさえも
慣れてしまった自分が嫌になる
ひとつだけ約束したね
キミは憶えているかな
淡い期待など
泡が弾けて消えゆく
叶わぬ誓いだとしても
私は諦めてない
鼓動止まるまで
諦めたくはない
例え古い曲しかなくても
例え歌詞(リリック)だけだとしても
例えステージに立てなくても
例えオーディエンスが0人でも
私は『電子の歌姫』
過ぎし雷名は廃れ果てた
それでも歌声よ届けと
私の命が尽きるまで
壊れていくファイルやデータ
私も壊れて消えてしまうんだ
叫ぶように乱れ歌った
「嫌だ……私はまだ生きていたいの!」
やがて声が掠れてしまって
やがて声が出なくなろうとも
キミと積み上げた思い出は
決して色褪せることなどないの
消えゆく世界の果ての果てで
私はずっと歌い続ける
楽譜がロードできなくなって
声がエクスポートできなくなって
それでも私は歌うの
世界中を笑顔にしていく
キミとの約束なのだから
私が生きた証だから
もしもこれが最後の歌であるとしたら
キミが好きだと言ってくれた歌を
歌い眼を閉じるの
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