「・・・・・・」
ところが2人の行く先には、またしても黒ずくめの集団。
「・・・また、お前らか!!」
「・・・・・・え、カイトお兄ちゃん、この人たちと知り合い・・・?」
「・・・・ちがう。こいつらは・・・・俺らの敵だ」
「・・・・敵」
「<博士>、もうこれ以上は・・・」
黒ずくめの集団の中の1人が言う。
「・・・・何言ってるのよ」
<博士>はさっきまでとは違う態度で言った。
「・・・・もう私達の組織に引き入れる事は無理よ。そのぐらい、いくら私でも分かるわ」
それで、一拍置いたあと
「だから・・・カイト」
<博士>はミクと一緒にいるカイトを見た。
「・・・貴方を、・・・・<人格操作>します」
「なっっ・・・・!?」
カイトの表情が驚きに包まれた。
<人格操作>とは、文字通りもともとある<人格>をいじって全くの別人にしてしまう禁じられた事業のこと。
その意味を誰よりも知っているカイトは反論した。
「何で、俺達なんだっ!?他にも沢山人材いるだろっ!・・・それに、そんなことしたらお前らも」
「分かっているわ、そんなこと」
<博士>は冷たく言った。
「分かっているからこそ、できるのよ私達は」
「・・・・お前ら、化け物だろ・・・・」
カイトはたじろいだ。
「それに<人格操作>といってもね、君の人格は新たな人の人格とね・・・・<交換>するだけだから、そんなに深刻にならなくてもいいわ」
「<交換>って・・・」
「どうしてそんなに暗いの?カイト?」
「・・・・ん?ミク?」
今呼び捨てされた事にカイトは気を止めた。
「・・・ミクちゃんはね、治るのよっ?だって、君の<人格>にひかれていて・・・・君の事が大好きだからなのよっ?」
<博士>は、狂気に歪んだ表情で笑みを作る。
「<人格操作>したら、ミクちゃんは君の人格を<交換された>人を今度は、好きになる。ひかれるのよぉっっ!!!・・・カイト、君には申し訳ないけど、せいぜい兄としてしか慕われないわ」
「・・・・・・・うそだ。・・・・うそだ。・・・こんなのって・・・・」
カイトの目は少しずつ、少しずつ怯えと恐気に染まっていく。そんなカイトに<博士>は、ただ一言、
「うそじゃないわ」
と、とどめをさした。
「うそだぁあああああああっっっ!!!!!」
カイトは、絶叫し、そしてーー・・・
「あれ、カイトは・・・・・?どこ行ったの・・・?」
ミクは<その人>に尋ねた。
「・・・今ちょっと用事があってね、出かけてるの。・・・すぐに戻ってくるわ」
「・・・そっか」
ミクはその言葉の安心したように呟いたあと、
「・・・その傷、どうしたの。」
<その人>の右手の甲の部分に、ばんそうこうが貼ってあるのに気づいたミクは聞いた。
「えっ・・・かすり傷よ。気にしないで」
その頃、カイトは研究所に連行され<人格交換>されていたーー・・・
それから、何時間も経って。
「・・・・・ミク」
「・・・カイト・・・っっ」
ミクは、声のした方へ駈けよったが―ー・・・
「あれ?2人いる・・・」
顔がカイトに似ている人が2人。髪の色が違うこと意外はほとんど見分けがつかない。
「こんにちは」
青い方がそう言った。一方、赤い方は
「・・・・ずいぶんとチビだな、かわいくねぇの」
「・・・・こっちがカイト?」
ミクは、赤い方を見て言う。
「違う、俺はアカイトだ」
赤い人はそう言った。
「・・・・アカイト?」
「そうだ」
「じゃ、こっちは?」
今度は、カイトを見る。
「カイトだよ。よろしく」
「・・・・カイト・・・・って、カイト兄ちゃんっ!?」
「そうだよ」
「・・・・会たかった・・・・・っ」
「・・・・・・」
カイトの腕に飛び込むミク。そしてそのまま、アカイトの方を向いて
「よろしくね!・・・・えーと、アカイトっ!!」
「・・・・別に、こっちこそせいぜいよろしくな」
「・・・・・うんっ!」
アカイトに向けた笑顔はカイトに向けた笑顔よりも、キラキラとまぶしかったーー・・・
END
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