裸足で歩いていた。
見えた物しか描けなかった。
柔い風が撫でた。
……違うな、それは君の声だった。
足り無いばかりだった、
それで良いとも思えていた。
諦めに似通ったなにかが、俺を殺している。
目も盲して、情が減って、穴は空くだけで、それでも、何も無くても、手は動いていた。
六ペンス分の愛を!
空を掴めぬと知った衝動を!
ほら手はまだ動く、なら描くしかないだろう?
自然光の彩交と、ペストコールの偶因、情感よ!
ああ、未だに惜しむものこそ、不幸せを照らすのだ。
砂が足を纏った。
潮騒がどうにも眩しかった。
鈍い、鉛みたいな式日、それも悪くはないか。
晴れ間に移る余適、白昼夢みたいな漣が、それらがただ綺麗でいたから、描いていただけなのだ。
未知ばかり、想像だけで、言葉にすらならないその先が見えたとしたら、この旅は終わるだろうか?
これからは何処へ行こうか。
口惜しい数十秒、後悔と微睡みの終着点
唯、思うが儘に形象を彩り往く
永遠の巡礼と云うべきか、故、我が儘に
想像、否、世界の創造を、最期に
六ペンス分の愛よ
虚像が欠けゆく天の満月よ
まだ、手は動くから、なら描くしかないだろう?
澄みきった蒼茫が、仰ぎ見る暁星、月光が、
今、惜しむものこそ全てが美しいと知れたから。
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