月末―――それは私たちVOCALOIDの一か月の運命が決まる日である。
「みんな、準備はいいか?」
マスターが厳かに言う。
隣に座っているミク姉がごくりとつばを飲み込んだ。
そして、一斉にみんなで机の上にある瓶の中から割り箸で作られたくじを引きぬいた――――
初めに声を上げたのは、メイコ姉。
割り箸の先に星のマークがついたものを握りしめて、嬉しそうにしている。
「これで3か月連続、係なし!!!!」
その横ではカイト兄が倒れこんでいる。ルカ姉が足でカイト兄をつついてもびくともしない。ただの屍のようだ。
カイト兄が握りしめているくじには、3の番号。
つまり…
「うわ!カイト兄、またロードローラーの整備!?」
ミク姉がカイト兄のくじと机の上にあるくじ引きの結果が書かれたメモを見比べながら言った。
ロードローラー整備係。それは私とレンにとっては最高の係なのだが、みんなにはどうも人気がない。
一度、何で人気がないのか不思議に思ってルカ姉に訪ねたら「服が臭くなるし汚れるから」と言われてしまった。
私も自分の係を確認しようと、ミク姉の手の中を覗き込むと、
「リンー。お前、俺と一緒に掃除係だって。」
レンが親切にも教えてくれた。
「マジで!?うわーめんどいの引いちゃったな…」
「俺も思った。まあ二人でやれば何とかなるだろ?」
「レン君、今回はそうもいかないよ…」
私とレンの間にぬっとマスターが現れた。
「うわ!!びっくりした!!そうもいかないってどういうこと?」
私とレンが首をかしげると、マスターの代わりに屍(カイト兄)が言った。
「今回は、半年に一回の大掃除だよ…奈落の底…じゃなくて倉庫とかも全部掃除しなきゃ…そして僕はロードローラーで油にまみれて死ぬんだ…」
「…。」
私とレンはカイト兄の言葉に青ざめた。
倉庫―――それはマスターの私物である薄くて高い本が大量に詰め込まれていて非常に危険な場所なのだ。
「やばいね。」
「うん、これはやばい。でも、さっさと済ませたほうがいいよね。」
レンが強い瞳で私を見つめる。
「そうだね!よし!!早速今日中に終わらせちゃお!!!」
私とレンは掃除用の汚れてもいい服とマスクとはたきを装備して、ダンジョンに突入した。
はたきで棚のほこりを落とす。
「うへえ…かなりたまってる…」
思いっきり顔をしかめると、横でレンも同じように顔をしかめた。
「まったく…マスターが整理整頓を覚えれば俺らがこんな思いしなくて済むのに…」
「ほんとそうだよ!!」
レンに同意しつつ、高い棚の上を掃除しようと脚立に上ろうとしたそのとき。
「きゃ!!!」
足を滑らせた。
結構脚立の高いところに上っていたため、自分の身に来るであろう衝撃と痛みに耐えれるように反射的に目をつむり、体を丸めた。
しかし、いくら待っても自分の身に衝撃と痛みは来なかった。
「…?」
そっと目を開けると、自分の下には自分を抱きかかえる形でレンが下敷きになっていた。
「…いってぇ…!!」
痛みに顔をしかめながら、腰をさするレン。
「れ、レン!!大丈夫!?ごめんね!!」
「俺は大丈夫。リンは、怪我してないか?」
「怪我してないよ。本当にごめん。」
思わずうつむくとレンは軽く笑って、
「へーき!!リンが怪我してないならそれでいい。じゃ、掃除再開しようぜ。」
といって立ち上がった。
「それにしても…終わる気配ねえな。これ。」
棚のほこりを全部やっつけた後、レンがほうきで床をはき、私は棚を雑巾で磨いていた。
「そりゃあ、この広さだし半日以上はかかるでしょ。」
と言った瞬間!!
部屋の電気が切れた。
「て、停電?」
暗いところが苦手な私はかなり不安になった。
「そうみたいだな。」
レンが暗闇の中で動いたのか、ほうきが床に落ちるような音がした。
そして、
「きゃ!?」
私の手に何か温かいものがふれた。それはレンの手だった。
「あ、びっくりさせてごめん。リン、あんまり暗いところ得意じゃないだろ?だから心配で…」
「ううん。大丈夫。ありがとう。」
私はレンの手を握り返した。
しかし、しばらくしても電気はつかなかった。
「ねえ、これ大丈夫なの?」
床に二人して座り込み、手を繋いだ状態。いったい何分が経過したのかもわからなかった。
だんだん不安になっていく私の様子を察したのか、レンは
「なあ、リン。大丈夫か?」
と私の顔を覗き込んだ。
レンとの顔の距離が近くなったせいで私の顔は真っ赤。
「だ、大丈夫!!」
慌ててそう言ったけど、どきどきはおさまらない。
しばらくするとおそらく扉がある場所なのだろう壁をどんどんとたたく音と、
「リンちゃーん!レンくーん!!ここにいるよね?大丈夫―?」
とカイト兄の声がした。
「うん!!ここにいる!!」
「暗くてなんも見えないから!ドア開けて―!!」
私とレンは必死に叫んだ。
すると、ガタガタという音とともに、何かが動く音。
私とレンは自然と体を寄せ合い、不安な気持ちを押し殺してじっとしていた。
そして、一瞬光が見えたと思ったら、ガタリと大きな本棚が倒れてきた。
掃除するのに邪魔だと、移動させていた本棚がドアの前にあったのをカイトにいが力任せにあけたせいだろう。
私は直撃するかもしれないそれが怖くてギュッと目をつぶった。
ガタン!!という大きな音とともに本が崩れてくる。
でもそれは私には当たらずに目の前の影にあたるだけだった。
そっと目を開けると、体が密着するような状態で、私を本棚から守っているレン。
その顔には冷や汗が伝っていた。
「れ、レン。」
「リン、だいじょうぶか?」
レンが話すたびにその吐息が私の首筋をなでる。
みるみる赤くなる顔をそむけようとしても目の前にはレンの顔があって。
唇が、触れる―――――
と思った時だった。
カイト兄がレンの上の本棚を起こして、横にいたマスターがレンの腕を引っ張って私とレンの顔は離れた。
私ものそりと起き上がると、
「リン、レンごめんね。電球が切れそうなの忘れてた。」
とマスターが頭をかきながら謝った。
私とレンは顔を見合わせて小さく笑うと、
「「じゃあ、今月の掃除当番はチャラにして。」」
といった。
マスターは「怪我させちゃったしなぁ…」としぶしぶ了承してくれた。
こうして、私とレンの快適な一か月が訪れた。
【大遅刻☆】私と掃除と君との距離【芽梨沙への誕プレ…遅れてごめんなさいっ><】
大遅刻してすみませぬ…orz
本当にごめん…しかも大した出来じゃないし…
マジでごめん…
いつもメッセのやり取りしてくれる芽梨沙が大好きだーーーーー!!!!
コメント1
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ご意見・ご感想
芽莉沙
ご意見・ご感想
ありがとーーーっ!!遅刻とか全然気にしてないよ!
基本ギャグなのに、甘いのも取り入れてあってむっちゃ楽しかった!
そして紅華が好き過ぎて死ぬ\(^o^)/←
めーちゃん仕組んでないか?w
薄くて高い本…それってどうじんs(((はい強制終了ー☆
リンちゃんを体張って守るレン君がほんとかっこいい…///
てゆうか二人ともかなり長い間手を繋いじゃってるとか!!マジリア充だよ!リンレン最高!!!←
後、赤くなるリンちゃん可愛いっ><
お嫁にほしいけど、レンのとこ行くからしょうがないよね!私はリンの愛人でいいy((黙れ
紅華マジ愛してる←
これからも是非是非見捨てずに仲良くしてください←←
2012/05/27 17:43:15
紅華116@たまに活動。
芽梨沙>
ううう…遅刻してマジごめん…許してくれる芽梨沙が寛大すぎて泣けるww
私も芽梨沙大好き!!
めーちゃんはなんか運がいいというか強いイメージがあるww
ん?なんか言った?wwまさか同人誌なんて言わないよねえww?
甘くかけててよかった!!
愛人てwwwwじゃあ私はレン君の愛人にでも…(((やめれ
うちも芽梨沙本当に大好き!!
こっちこそよろしく^^
2012/05/29 21:41:19