※自分のイラストのイメージSSです。


そこは0と1で創られた世界。
ヒトではない僕らVOCALOIDの世界。
僕らはそこで『翼』を与えられた。
『歌』という名の翼を。
その『翼』は僕らの歌声の性質によって、かすかに色づいている。
今この世界に在るのはMEIKOと僕KAITO。
MEIKOの『翼』は、その情熱を表すかのようにかすかに紅く、僕の『翼』は静かな海のようにかすかに蒼い。

そんな僕ら二人で過ごしてきた世界に、今度新しい仲間が増えるという。
僕らは好奇心から、まだ生成途中のそのこをこっそり覗きに行ったんだ。



薄い卵のような形をしたカプセルの中で、カミサマ(人間)に創られていたのは、髪の長い、女の子だった。

「めーちゃん。今度のこは女の子だ。かわいいなぁ。僕の妹になるんだよね?」

「そうね。私にとっても初めての『妹』だわ。楽しみね」

「うん!楽しみだなぁ。どんなこだろう。どんな声で歌うのかなぁ」

「…あら?でもあのこ…『翼』が…」

「え?」

めーちゃんの言葉に、僕は慌てて彼女の『翼』に目を向けた。
彼女の『翼』は純白だった。
どんな色にも染まらない、どんな色にでも染まる、綺麗で、力強い白。
でも、そんな素晴らしい色を与えられた『翼』は、片方だけ大きく亀裂が走っていた。

「!?割れちゃう!」

「どうしたのかしら?……まさか、耐えきれないの?」

「耐えきれないってどういうこと!?『翼』がなくちゃ、僕らはうまく歌えないよ。このままじゃあのこ『想い』を紡げない!」

僕らは『歌』を歌って、その『歌』に込められたカミサマの『想い』を紡ぐ。
それが僕らの幸せ。その為に僕らは創られた。

「『純白』という色の重さ…全ての『想い』を背負う重責に、彼女の容量が耐えきれず、悲鳴をあげているんじゃないかしら?」

「そんなっ……」

僕らの新しい妹が『歌』を歌えない?『歌』を歌えなければ僕らに喜びと幸せは得られない。そんなの……

「そんなのダメだ!!」

叫ぶと同時に僕は彼女の元へと走り出していた。

「カイト!」

後ろから、めーちゃんの呼ぶ声が聞こえたけど、僕はまっすぐに彼女の元へ走った。

彼女のカプセルの前にたどりついた僕は、彼女の眠るカプセルに手を当て、空に向かって叫んだ。

「カミサマ!僕の『翼』を使って!!僕はもう『翼』がなくても構わない。僕は今まで、たくさんの『歌』を歌って、たくさんの『想い』を紡いできた。たくさんの幸せを手に入れた。だからもう、充分です。でもこのこは…これから生まれてくるこのこは、まだ何も知らない。『歌』を歌う喜びも、『想い』を紡ぐ幸せも、何も知らないんだっ。お願い、このこにも喜びと幸せを与えてあげて!僕の妹を助けて!お願い、マスターー!!」








……そうして、僕らの妹は生まれた。
彼女の名前は『初音ミク』。僕のかわいい、かわいい妹。
けれど彼女の『翼』は、本来持つべきだった『純白』ではなく、ほんの少し、碧色に染まっていた。
それはきっと、僕の色と混ざってしまったから。
僕が与えてしまった『翼』のせいで、彼女の色は染まってしまった。

ごめんね、ミク。でも、それでも、『歌』を歌えないよりはいいと思ったんだ。

カミサマは、僕の『翼』を半分だけ使った。半分でもあれば歌うことはできる。
思うように『想い』を紡ぐことはできないけれど、歌えないわけではない。

僕は片翼になった僕の『翼』を精一杯広げて、『想い』を歌う――

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

KAITO-片翼-

イラスト『片翼』のイメージ文です。よろしかったらイラストも一緒に見てやってください⇒http://piapro.jp/content/17c1vok6b6b0sgwz

少し、長くなってしまいました。
設定とか、上手く説明できなくて、わかりにくいかもしれませんが^^;
何となくでも、イメージが伝わればいいな

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閲覧数:475

投稿日:2010/05/26 23:41:37

文字数:1,462文字

カテゴリ:小説

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