…夢を見た。


レンとミクがキスする夢だった。

2人が誰もいない教室で、キスしていた。

私には苦痛意外の何者でもなかった。

のに、2人が離れるまで見ていた。

枕が湿ってる…。何でだろう。
…自分の涙だった。目の回りにたくさんついていた。
夢で泣くとか…。
どれだけ心が弱いんだ、私。

涙を拭くため顔を洗ってから、朝食を摂るためリビングに行った。
そう途中の廊下で、今1番会いたくない人と会ってしまった。同じ家に住んでいる以上、会わない事なんて出来ないけど。

「おはよう。」

眠そうだけど、元気な声でレンは私に挨拶をしてくれた。
廊下で会ったのはきっとレンも朝食を摂るためだろう。

「…おはよう。」

私は元気な声は出なかった。心の中で、こんな時に元気な挨拶なんか出来ないよ、と毒突いた。

私とレンは2人でリビングまで行った。リビングに近づくにつれ、良いにおいがする。今日のごはんは何だろ。こんな状況なのに現金な奴。

リビングには誰もいなかった。それが分かると困ったような、嬉しいような複雑な気分になった。

朝食を摂る間、2人は黙ったままだった。
私がいつもと違い、鬱ぎ込んでいるからレンは何も言えないっぽい。

…仕方ないじゃん。あんな夢見たんだもん。
だいたいレンの初キスの相手は私なんだから!

「ごちそうさま。」

さっきの元気な声とは真逆の不機嫌な声になっていた。
私のせい?

「…リン」

不意に呼ばれて肩がビクっとなった。声と同じ不機嫌な顔のレンを見上げながら答えた。

「……な、何?」

「今日も一緒に帰りたいんだけど。」

言葉と台詞が全然合ってないよ…。
そんなミスマッチにも私の胸はキュンと音を立てて反応する。

「いいよ。一緒に帰ろ。」

思わず笑顔になってしまう。
思わず赤面してしまう。

レンの一言で耳まで熱くなる。

さっきまで鬱ぎ込んでいたのが嘘のようだ。

「…ありがと」

呟くように言ったのは、2人ともだった。

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片思い

閲覧数:304

投稿日:2010/04/07 20:34:48

文字数:838文字

カテゴリ:小説

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