私は、鼻歌交じりに自宅の階段を下りていた。
今日は気分が晴れている。
「るるんるん~♪」
今すぐ誰かに話したいことがあって、足が自然と速く動いてしまっていた。
一階のリビングの扉の前にたって、一呼吸終える。
そして勢いよく扉を開け放った。
「やほーーーーーーぅ!!」
「んぉ?」
リビングにいたのはリンとレンだった。
リンはテレビの前に寝転がり、レンはゲームで遊んでいた。
「どうしたの、ミク姉。今日はやけにテンション高いじゃん」
リンはそう言いながら煎餅の袋に手を伸ばし、ぼりぼりと音を立てながら噛り付いた。
「ふっふ、ふっふふ。リン、今日は何の日でしょう?」
「ん?」
少し驚いたように目を丸くしたが、リンはすぐに瞼を半分おろしてしまった。
「んーーー・・・・・・」
顎に手を添えて、考える仕草をした。
「何かあったっけ?」
「んのぉーーーーーーーーーーーーーーー!!」
私は嘆けるだけ嘆いた。
背を海老反りにし、顔を両手で覆い隠し、”なんてこった”なポーズ。
ジョークかどうかは知る術はないが、さらりとそんなことを言われては・・・・・・
・・・・・・なんというか、傷つく。
私はめげずに、リンに問いかける。
なんとか彼女自身の口からその言葉を言ってもらいたいためにだ。
「え、ね、ねぇ、今日は何の日かとか、本当に思い当たらない?」
「んぇーーーー・・・・・・とぉお?」
知らんですなぁ・・・・・・・と呟きながら首を捻られた。
それも思いきりに。がびーん。
「・・・・・・ぉおあっ!!!」
と、突然リンが合点がいったように両手の平をぽむんとあわせて声を出した。
お、お?やっとか?
「もしかして、ミク姉・・・・・・・」
「うん?」
あ、思わず顔がにやけてしまった。
「”や さ い の 日”って言いたかったんでしょ?」
「ちっがーーーーーーーーーーーぁうぅぅう!!!」
先ほどよりも更にのけぞった。
このままでは背骨がどうにかなりそうだ。いや既にどうにかなってるかも。
「違うでしょ、リン」
と、横からレンの声が入ってきた。
「「ん?」」
私は期待を込めて、リンは疑問を込めて、それぞれの視線を彼にぶつけた。
「今日は、ミク姉の誕生日でしょ?」
「ぴんっぽーーーーーーんん!!!」
更に叫んでしまった。
だって嬉しかったからつい。
「あー、なんだぁ。そっちか!」
再びリンがぽむんと両手の平をあわせた。
そしてそこに咄嗟にツッコミを入れた。
「そっち、て何!?」
「・・・・・・ま、とりあえず、」
レンが場を抑え、部屋の空気の流れを調整した(多分)。
「「ミク姉、おめでとう!」」
「あ・・・・・・ありがと~、二人とも~」
私はネジが緩んだように、にへらっとだらしなく笑った。
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