しばらくすると、メイコの怒りもおさまったようだった。
…んだと、思う。
破壊音は止み、静寂が部屋を覆った。
…ただ、一つ心配なのが…

「…ねぇ、静かすぎない?」

「だよね…何でだろう…?」

あまりにも物音がしなさすぎて、逆に不安を呼んでいた。
ただ、また酒を飲んだりしているとかの危険性もなくはないので、いきなり乗り込むわけにもいかない現状だった。

「もう少し、待とうか?」

「うん…」

       *

さらにしばらくすると、たった一人現場に居合わせなかった幸運な少年がなにくわぬ顔をして帰ってきた。

「ただいまー」

「…あ、レンくん」

「どうしたの?みんなして廊下に座り込んだりして…」

「それがね、かくかくしかじか…」

―しばらくお待ちください―

「というわけで、まだルカさんに自己紹介も終わってないし、めーちゃんも怒ってるし」

「へぇ…俺がいない間に…」

「よかったね。いなくて」

「どういう意味だよ… …とりあえず、もうかなり待ってるんだろ?入ってもいいと思うよ?」

「じゃあレンが最初ね。逝ってらっしゃーい!」

「ニュアンス変じゃなうぉわぁ!?」

いつのまにかカギを開けてあったドアをカイトが開け、リンがレンを押しこみ、レンの真後ろでドアが閉まった。

「理不尽だ!?」

がちゃり。

「カギ!?ええぇぇカギ閉めるの!?危ないんじゃなかったの!?」

「レン…あなたのことは忘れないよ」

「リン!? …あれ?デジャヴがす………仕返し!?」

「忘れないよ。 …今日は」

「追いうち!?」

無言。
つまりレンは、完全に見捨てられたのだった。

「え―…ちょっと…怖いよ…?」

とりあえず見渡す。
あちらこちらに割れて構成データ数値の見え隠れしている小物類やカーペットを濡らしている酒、倒れた
ソファーなどがある。
家具類は大幅に定位置から移動し、壁には何かを打ちつけたような跡が残っている。
さらにきつくなった(レンにはわからないが)酒の匂い。まだどこかで滴っているようで、水音がどこからかぽたりぽたりと聞こえる。
だが、肝心のメイコの姿が見当たらない。
その時、

「…っ、げほ」

不意に咳の音が聞こえた。

「ぎゃあぁぁ!?」

今までほとんど音がなかっただけに、かなりビビって後ずさるレン。

「………ん」

だが再びそのもそもそ動く物体を見て、

「…え、あ、もしかしてメイコねーちゃん?」

倒れたソファの裏に、はだしの足が見える。

「寝てんの?」

返事がない。
それでも見えている足はうごうごとせわしなく動く。
危険そうで近づけない。

「ねーぇレーン?大丈夫―?」

カギのかかったどあのむこうから、くぐもった声が聞こえる。
レンは振り返って状況を報告しようと声をはりあげる。

「だいじょ……むぐ」

「れえぇぇん…うぅん…あんたは味方よねぇ…はふぅ」

「え、え、え、え、え、」

口をふさがれ、うしろから抱きつかれた。
もちろんメイコだ。

「めめめメイコねーちゃん…よけて…重…じゃないカイ兄に見られるよ…」

「ん…それは…嫌かなぁ…」

メイコはずり落ちるようにレンから離れた。

「かぁいとぉ…来てよ…来てぇ…」

「え?めーちゃん?どうしたの?」

すぐにカイトが反応して返事をする。

「力が…出ないのよぉ…来、てぇ…あぅ」

ぱたり、とメイコは倒れる。
すると、バタン!と大きく音を立ててカイトが入ってきた。

「どうし…って、めーちゃん!?めーちゃん!?なんで!?僕らは機械じゃないの!?なんでこんなにぐったりして…!?なぁ、めーちゃん!?」

カイトは即座にメイコを抱き上げる。
返事がない。

「カイ兄…もしかしたらさ…」

「うん、今わかったよ。マスターが、めーちゃんを起動しないからだよね」

「え… それって、俺らにはなにも…」

「うん、できないね。だけどさ、めーちゃんを…看病、しよう、か」

「カイ兄は、めーちゃんをポッドに入れてきてよ。ここは、俺らで掃除するからさ」

カイトは、困ったような嬉しいような、それでいて照れたような表情を浮かべた。

「…うん、そうだね。ありがとう」

カイトはメイコを『お姫様だっこ』して、リビングを出た。
そこで震えているリンとルカを見て、

「ごめんね。リンとミクはレンを手伝っておいで。ルカさんは…そうだなぁ…」

「わ、私も手伝うわ!」

「そうかい?ありがとう。いきなりこんなことになっちゃって、ごめんね」

ルカは微笑み、

「ううん、いいんです。早く、紹介してもらいたいから」

言った。

       *

「ねぇ、リン、ミク、ルカさん」

部屋に入るなり、レンが深刻な顔をして話しかけてきた。

「メイコねーちゃんが起動してもらえないからああなったのなら…カイ兄も危ないよね?きっと、二人はかなり前から一緒にいると思うんだ」

三人がハッと目を見開く。

「大丈夫、なのかな?」

「え、―と、だ、大丈夫だよ!今はまず掃除しよ!」

「…うん、そうだね。早く終わらせて、ルカさんに自己紹介するんだ」


※なんか長編みたい…まだ続くことになってしまいました

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

レンとぼかろ家の日常。 7

なんで深刻化させる必要が!?
えーと、最後には笑で終わらせられるよう努力します。

「レンとぼかろ家の日常。」というタイトルについて。
・これは日常と言えるのか!?(2・5くらいだろ)
・そんなお気楽な話か!?(2・5ry)

このルカ登場・メイコ酔い潰れ編が終わったら、もうちょい日常らしくなるようにします;

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投稿日:2011/05/18 18:42:53

文字数:2,163文字

カテゴリ:小説

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