『まさか?』
ルカはミクが来るのを待っていた。店にはお客は一人も居ない。
朝早くだからなのかもしれない静けさだけがルカの周りをジリジリと詰め寄る。
[タッタ・・・]
ルカは確かに聞いた。走り去る足音を・・・。
「だっ誰?」
[タッタッタ・・・]
足音は返事の変わりにルカの近くに寄ってきた。
「ワッ!」
突然ルカの耳元で声がした。息がかかるほどに・・・。
「キャアッ!!!」
ルカは思わず尻餅をつき、目を閉じた。
(なんで!?普通だったら気配で分かるはずなのに・・・近くにはマネキンしか・・・)
「レン!!大成功だよー!!」
「ちょっとやりすぎたんじゃない?」
ルカは目を開き、また驚いた。
目の前には髪型と服装以外・・・つまり顔が似すぎてる男の子と女の子が居た。
「あなたたち誰?もしかして双子?」
ルカは聞きながら立ち上がり、お尻と腰をはたいた。
「「うん」」
「アタシはリン!!レンのお姉ちゃんなんだから!!・・・みんな間違えるけど・・・」
黒いドレスを着た黒い大きなリボンの赤く頬を膨らませ胸を張る気の強いリン。
「名前はレン、まぁ俺は他人の言う事は気にしないけど・・」
黒いタキシードを着た黒いリボンで髪を結わえてる冷静なレン。
「私はルカ、あなたち、お客さん?もしかして店員さん?」
「ルカ~!!このピンクのワンピースが似合うと思うよ~!!」
リンとレンは苦笑し無言でミクが来るのを横目で見て走り去った。
「ちょっちょ!!まって!あれ?・・・いない?」
二人は居なくなっていた。
(私より小さいのに足は早すぎじゃない?)
「どうかしたの?」
ミクが不思議そうにルカの顔を覗きこむ。
「う、ううん」
ルカはとっさに嘘をついた。ミクに話すことに何か、自分の中で怖かった。
「・・・そっか」
ミクは立ち上がる一瞬、ルカを冷たく見た。
「これ、似合うから着てね」
「うん」
(あれ?ミクお姉さんの様子が少し変?)
ルカはミクの態度に違和感を覚えつつ、着替え室に入る。
少し古ぼけた不思議な香りが着替え室に経ちこめていた・・・
それはなんだか身体が重くなる様な・・・
三時間後・・・
ルカの意識は、ぼんやりとしていて身体を動かすことが出来ずにいた。
[ジーー]
カーテンが開きミクの笑みがルカの目に入る。
「わぁああ!やっぱりルカちゃんにはコレがぴったしお似合いだね!!」
「・・・」
ミクは、荷車に動かないルカを乗せ歩きはじめた。
[ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ・・・]
しばらくし、歩くのをやめた。
「それじゃあ、ここがルカちゃんのスペースだよ!」
「・・・」
[ゴトッ]
ミクはルカを段差のある所に立たせた。
「隣に立ってる二人が、これからのお友達だよ」
「・・・」
隣には先ほど会話したリン・レンが居た。
だが、二人ともマネキンの様に・・・ルカの様に・・・動かない。
ミクは荷車をしまい、ルカの前に立って腰に手をあてた。
「大丈夫」
「・・・」
そして言葉を続ける・・・
「閉店時間がきたら動いていいよ、
今は慣れてないから意識も身体もボロボロだと思うけど、
時間が経つと慣れて切り替えの仕方が解かってくるから・・・
でも開店時間に動いたりしたらダメだよ?後、私の前ではマネキンの状態でないと・・・」
ミクは、横に並ぶリンとレンの方を向いた。
「リンちゃん?レンくん?運が良かったね・・・もしルカが言ってたら、燃やしてたよ」
「「・・・」」
「・・・二人とも、もうマネキン服屋に来て三年だもんね・・・でも油断ダメだよ」
「「・・・」」
『これは、夢?』
ルカは今の現状を把握出来ずに居た。
そして、動けない状態の中で見える範囲をくまなく見て驚いた。
『ここは・・・ショーウィンドーの中?』
ミクはルカの方を見て、ニヤリと笑う。
『まさか?』
ルカは気付いてしまった・・・
不思議な・・・奇妙なマネキンになってしまったことに・・・
「さぁ開店」
ミクが不気味に言う事に、ルカは最初会ったミクと比べてしまい悲しくなった・・・
[カラン♪カラン♪]
扉のベルが鳴る。
「すみませ~ん」
「はい!いらしゃいませ!!」
ミクは後ろを向き、声を変えた。
「今回は新しいマネキンを仕入れてみました、
もちろんですが服の新作や今の季節にピッタリな品物も揃っています」
「あら?このピンクのワンピース可愛いわね、私のサイズであります?」
「もちろんです」
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