【ぽルカ】 いつか桃色に染まるまで 【がくぽ生誕祭】

投稿日:2012/07/31 01:07:26 | 文字数:2,490文字 | 閲覧数:1,374 | カテゴリ:小説 | 全3バージョン

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リア充爆h…じゃなかった、殿!御生誕祭おめでとうごじゃああす!!プレゼントは姫様です!!

間に、あっ、た…過去最高のスピードと密度で書きまくりました。突貫工事であるが、手は抜いてない。愛ですね。
生誕祭気付いたの2日前だけどね!

殿が紳士すぎて話進むかなぁ…などと思っていたらどっこい、さすが殿。真性女たらし。どこかの誰かとはレベルが違った。勝手に姫を襲い始めたのでとりあえず好きにさせてみました。
結果は桃色に染まったナスに聞こう!

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TEXT
 

知らなかったです、ほんとです。今日が7月31日だとか、その日がどうだとかこうだとか、ほんとに知らなかったです意識もしてなかったです。
たまたまです、ほんとです。今日はたまたま仕事もなく、たまたま特にすることもなく、たまたまちょっと出掛けてみようかと思っただけです。
知らなかったです。ほんとですよ。ほんとです。ほんとですよ。


ルカは、呪文のような文句を延々と脳内で自分に言い聞かせながら、鏡に映った女とにらめっこした。
気が付いたら、お化粧の時間にいつもより20分多くかけていた。それでも鏡の中の顔は不満げだ。
原因はわかっている。…この、眉間のしわ。
「…はぁ」
ルカはもうやだ、と顔を両手で覆って鏡台に肘をつく。
なんでこんなに可愛くないの。笑えない女に価値なんてあるのかしら。ないに決まってるじゃない。私だって楽しければ、嬉しければ、普通に笑う。でも、あの人のことを考えるだけで…
ぺし、とルカは自分の頬を軽く叩いた。チークどころじゃないほど、白い頬は赤くなっている。
気持ち悪いのよ。ばか。一人で赤くなって、自意識過剰なのよ。
ばかな女。
のろのろと立ち上がり、部屋の入口に立て掛けてある縦長の鏡に全身を写した。
仕事じゃないから。プライベートだから。100万回くらい自分に言い聞かせて、死ぬ気で着てみた白いワンピース。胸元のシャーリングとリボンが可愛らしく、胸下で切り替わる幅の広いウェストとふんわり広がる膝下までのプリーツ。メイコとショッピングに行った時、お揃いで買ってしまったものだ。ちなみにメイコは薄い水色を買っていた。彼女はすでに誰かさんとのデートの日に披露して歓喜されていたのを目撃している。
鏡の中の自分は、何かがひどく不釣り合いな気がした。
姫ライン。買った店でも、その後見かけた雑誌の煽り文句でも、このワンピースはそのように紹介されていた。
…こんな、無愛想で可愛げのないお姫様なんていない。
普段、世間的にもそのような扱いからは一番遠いように思われるメイコの方が、よっぽど可愛らしい姫君に思えた。
真っ白い肌に、真っ白なワンピース。サンダルは薄いピンクの予定。頭にはヘッドフォンじゃなくて、銀色の細いカチューシャをつけている。髪の毛は…あの人が好きだと言ったから、この暑いのに下ろしたまま。鮮やかなこの色の髪の毛は嫌いじゃないけど、鏡の中の貴女はどうしてこんなに味気ないの。
ふと、アクセサリーをまとめて入れてあるガラス棚に目が引き寄せられた。正確には、その中にあるコサージュに。
ルカは引き出しを開け、その花を手に取った。牡丹のような花弁。色は清楚な、…薄紫。
…また、ふわりと頬を熱くする自分が疎ましくて、ルカは口唇を噛んだ。





階段をそろりと降り、なるべくなんでもなさを装ってリビング横を通り抜け、静かに玄関に向かう。
ただ、休みの日だから出掛けるだけ。特に目的なんてないですから。
悶々と心の中で言い訳しつつサンダルを履き終え、玄関の姿見でもう一度全身をチェックして、いざドアノブに手を掛けた瞬間だった。
「ルカ、これ持ってってー」
…ギリィ、と歯ぎしりしたその時のルカの顔だけは世間に公表できない。
能天気な声出して。でも私は騙されない。あぁそう、全部わかってたのね、私が部屋から出てきたのも、こっそり出て行こうとしてたのも。相変わらず気の利くお兄様ですこと、あぁ本当に余計なことばかり!!
「…っ、何をですかカイトさん!!」
「なに怒ってんの。いや、ついでにこれ渡してって」
青い頭を覗かせてリビングから出てきたカイトが、手にぶら提げたスーパーのビニール袋を揺らした。
「今日さ、夜にお隣に行って盛大に料理する予定だったんだけど、オレとめーちゃん仕事入っちゃったからさ。今日中じゃないとアレだし、悪いけど一緒に持ってって」
意味がわからず訝しげなルカに、はい、と押し付けられるビニール。思わず受け取る。重い。
「…なんですかこれ」
「ナス」
ひっ、とまるで恐ろしいもののようにビクッとして思わず放り投げた袋を、カイトがわあぁと受け止める。
「こらぁ!ダメだろ!グチャッってなるだろ!」
「な、な、なんですかそれ!なんで私にそんなもの渡すんですかっ!!」
玄関扉に背を張り付けて抗議しながら、ルカはイヤでも理解してしまう。
バレている。バレているのだ。なんでなんで、どうしてどうして。いや違う、そんなんじゃないんだから、動揺する方が変でしょ、あぁでもでも、でも!!
「え、だってがくぽに会いに行くんでしょ」
「違いますッッ!!!!!!」
メイコはオレの嫁発言と同じ当たり前さで断言され、ルカは細いヒールが折れんばかりに玄関のタイルをダンッと踏みつけた。
なんにも考えてなさそうな間抜けヅラで!~~もうイヤこの人!!
「なんでそうなるんですか!ちがいます!私はただ買い物に行くんですから!あんな人になんて会いません!!」
「あ、そうなの。ごめんごめんてっきり思い込んじゃって。ところでさ、アイツ今日は15時までD坂スタジオらしいよ」
「知ってます!!!!」
何よ偉そうに!それくらい私だって!
そう思ったところで、は、と気付く。
………。
……………面白いくらいに手遅れだった。
「…へー知ってたんだーそっかー。それはごめんなぁ、お兄ちゃん出しゃばっちゃってー」
誰か、誰かこの男を殴ってくれないか。ニヤニヤと目尻を下げる姑息で卑怯なこの男に、思いっきりアッパーを喰らわしてくれないか。ルカの拳が震える。でもおにゅーのワンピースに返り血が付くのは困る。困るのよ。
「…じゃあさ、『ついでに』、寄って、渡してきてよ」
ね、とにっこり微笑まれ。
ルカは顔を真っ赤にしたまま、カイトを睨みあげる。そして思いっきりグルンと身をひるがえした。腕ごと大きく振ったビニールがブォンと風を切り、遠心力に乗ってグシャバァン!!と何かに当たる。
なかなかの手応えだ。背後で顔を抑えて呻く声を聞きながら、ルカはふん、と髪をなびかせて家を飛び出した。


MEIKOさんを筆頭に、年長組、大人組、ボーカロイドが大好きです。

液晶の向こうに行くことは諦めたので悔しいけどめーちゃんはカイトさんに任せることにしました。幸せになれ。幸せになれ。

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