この国に。
いや、この世界に絶対は存在しない。
この世界はすべて可能性で立てられている。
「絶対はない」ということも可能性でしかない。
そう、人類が、"やつら"が、存在する事さえも・・・。




紅い花



私はこの剣と共に生きてきた。
生まれたその時から。ずっと、ずっと、手放すこと無く。
私の命はこの剣と共にある。
これからも、ずっと。
「メイコ」
「何でしょう。女王陛下。」
「西の荒野でまた"きゃつら"が現れた。よろしくお願いしますよ。」
「御意のままに・・・。」
私の尊敬する方が、私を救ってくれた方が、そう願うのならば、そうしよう。
女王陛下が、私の命の恩人。
"やつら"の存在を知らなかった甘い頃の私を救ってくださった方・・・。
その甘さから抜け出すのを手伝ってくれた方・・・。
私の道を切り開いてくれた方・・・。
女王陛下は私の大切な大切な・・・・だから。
だから、彼女のために。
それが私の・・・私とこの剣の願いだから。
選ばれたのだから、繫人として、ふさわしく、美しく、叶えてみせる。






蒼い大地




なぜ、僕が。なぜ、僕は。なぜ・・・?
僕は普通の町で生まれて、普通に育って、普通に生きてきただけなのに。
僕はただ病気の母を看病したくて。
ただ、町はずれの荒野に薬草を取りに行っただけなのに。
ただ、そこで"やつら"に遭っただけなのに。
がんばれば、逃げ切れた。がんばれば、あれぐらい退治できた。
なのに、どうして・・・?
「カイト様~!」
「・・・・ミキ?」
「カイト様!聞いてください!私たちの挙式が来月の10日に決まったんですの。私うれしくて、うれしくて、飛び回りたい気分ですわ!」
「そうか・・・・。」
「カイト様のお呼び出しに間に合ってよかった~。私、ずっと心配していたんですの。カイト様が行く前にあげれるかな?って。本当によかった!」
どうして、退治したのが、あいつだったんだ。
どうして、僕は、こうして、政略結婚させられたんだ。
どうして、こいつは僕を気に入るんだ・・・。
「そうだね・・・・。」
「ふふふ・・・・」
怪しい笑みを浮かべる・・・。
確信した。こいつは、ただ単に僕を手のひらに乗せて遊んでいるだけだ。
大臣の娘、という良い理由をこじ付けに。大臣も自分の子孫を増やすため、繫人の僕を自分の物にするべく、動いてるだけだ。
そんなやつらのために命をささげていいのか?
言い訳がない。
選択肢は1つ。
出て行く。
「ミキ。」
「ん?どうしました?カイト様~?」
「僕は、ここを出て行くよ。」
「・・・・え?」
「遊ばれるような命で終わらせたくないんだ。やることがあるんだ僕は。」
ミキの返事も聞かず、適当にこれから必要であろう荷を持って、家を出る。
後ろからミキが、信じられない。という顔で見てくる。
「ミキ。1つ言っておく。僕は、君と結婚する気も、君を好きになる気も、大臣の地位に立つつもりもない。」
そのまま扉と閉める。ミキが崩れ落ちる音だけが、聞こえた。









淡黄色の光



「リン。じゃあ行ってくるよ。」
「行ってらっしゃい・・・・」
僕だって本当は行きたくはない。
でも、しょうがない。
女王陛下の命をあるならば、行くしかない。さからえない・・・。
「お兄ちゃん!!」
「・・・ん?」
「必ず・・・必ず戻ってきて!!女王陛下に・・・ルカになんか負けないで!!」
「・・・ああ!」

リンがいるから、俺はがんばれる。
俺たちはいつもつながっている。いつも、どんなときだって、お互いがいれば、がんばれる。
それは、どんなに離れていたって、同じこと。
・・・。俺はそれとは別に、俺には思いがある。
俺の母父を殺した、無残に食いちぎった"やつら"は、次にリンを狙っている。
リンは気づいてないけど、いつも狙うのはリンばかり。
女王陛下の命が無くとも、"やつら"を狩るのなら、喜んで戦おう。

                      Essere continuato

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

この国のどこかで。-1/1-

※Essere continuato=続く
初投稿なので少し心配です@@
間違いあったらいってください~

かなり長くなるかもしれません。。。
でも更新(?)はかなり遅めかも。。。
一応今ある分投稿はしておきますw

閲覧数:65

投稿日:2010/03/02 22:27:57

文字数:1,689文字

カテゴリ:小説

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