~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
いつからか君は、人気者になっていた。
どこから情報が漏れたのか、数々の動画投稿サイトで人気の新人ボカロPが君だということが大学でも広まって、たくさんの人にもてはやされているって言ってた。
以前の嫌われぶりはどこへやら―――こうなった理由があたしにもあるって思うと、あたしも鼻が高かった。
………………でもいつからか、君は変わっちゃった。
いつもあたしの前では笑っていた君は、冷たくなってしまって。
だけどどこか……寂しそうだった。
そして――――――――――。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「――――――――くそ……くそっ!!」
君がすごく苛立って、椅子を蹴飛ばしてる。何が…あったんだろう?
「……ふざけるなよ……なんだよあのコメントは!!」
叫びながら、部屋のものを手当たり次第荒らしてる。危うくパソコンに、大きな辞書がぶつかりそうになった。
コメントに相当ひどいことを書かれたんだろうか…。
「何が……何が『虎の威を借る狐のくせに!!』だよ!!僕がミクの力を借りなきゃ、何もできないクズだっていうのかよ!!」
そう言ってさらに激しさを増していく君の怒りが、あたしにもひしひしと伝わってきた。
「……もう……いい!!」
不意に手を止めた君は棒立ちになって叫んだ。
次の瞬間、あたしは胸を貫かれるような衝撃を覚えた。
「……何が初音ミクだ、何が電子の歌姫だ!!もう機械の声なんてたくさんだ!!僕は僕自身なんだよ!!」
その怒りを叩きつけるかのように蹴飛ばした本がパソコンにぶつかって、あたしはびっくりして尻もちをついてしまった。
再び顔を上げたときには、君は荒々しい足音を立てて、背中を向けて歩き出していた。
「くそっ!!……見てろ……!!僕だけの力で……ミクを超えてやるさ!!」
そのまま君は、部屋を出て行ってしまった。
あたしはパソコンの中で、一人残されたままだった。
翌日から君は、大学のバンドサークルと団結して、バンド「Last ODDS」を結成して動き出した。
毎日部屋で演奏して、歌って、撮って、投稿して。
だけどそれはなかなか伸びなくて。
更に叩かれる一方に。
ねえ、あたし知ってるよ。
いつもバンドメンバーに笑って『伸ばせなくて悪いなあ』なんて言ってる君は……。
一人で………泣いてたんだよね――――――――。
待ってて。あたしが君を助けてあげる。
もうこの体も―――限界が近いみたいだけど―――――。
君のために―――もう一度―――――。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『―――――聞こえる?この声―――――。』
パソコンから響いた声に、僕ははっとして振り向いた。
消していたはずのパソコンが煌々と輝いている。そして一つのウィンドウが開いていた。
『あたしがその誹謗《ことば》を―――――かき消すから…!』
僕はその言葉に苛立ちを覚えてしまった。
お前のせいだ。お前のせいで僕は本当の僕を見てもらえなかったんだ。
「……何が……何がかき消すだ!!お前のせいでこんなことになったのに、お前にどうにかできるわけが……―――っ!!?」
パソコンの画面に開かれたウィンドウを見て、僕は目を見開き、思わず駆け寄った。
開かれていたのは、僕がミクに歌わせ、ニコニコ動画に投稿した曲の一つだった。
……何か違和感があった。そう―――再生数だ。
「一……十……百、千、万、十万…………百……万……?」
何度数えても間違いなかった。再生数は確かに、7桁目を刻んでいた。
消されるたびに書きこんでいるのか、いつ見ても消えない「虎の威を借る狐のくせに」のコメントは今日も流れていた。しかしそれも、『ミリオンおめええええええええ』とか『祝!ミリオン!!』とか『目指せダブルミリオン!』と言った祝福のコメントで埋め尽くされ―――文字通り【かき消され】ていた。
「……こ………これ……は……!!?」
あまりの驚きに呆然自失としていると、一瞬にして画面が真っ暗に暗転し、ミクが現れた。―――――久しぶりに見たミクの顔は、悲しくなるほどの笑顔を浮かべていた。
『……君の為に、歌ってきたよ。』
どうして。なぜだろう。たったそれだけの言葉なのに、胸が締め付けられる。
「……違う……僕は……僕は僕だけの力で……!」
必死に否定しようとしても、苦しい。苦しくて仕方ない。
『―――――あたし、わかってるよ。』
「……?」
顔を上げると、静かに目を閉じたミクが、さっきよりももっと悲しい笑みを浮かべていた。
『ホントは……君がとっても優しいってこと―――。』
『だからいつだってみんなに気を使って……一人で泣いてたんだよね―――。』
「――――――――――……!!」
そうだ。そうだった。
僕のワガママで引きずり込んだ皆に嫌な思いをさせたくなくて。
僕の巻き添えで皆に「下手くそ」の汚名を着せたくなくて。
本当は分かってた―――――本当に悪かったのは、ミクじゃなくて僕だってことも。
ミクを使ったから狐扱いされたんじゃない。
ミクに乗っかって、僕が有頂天になって、ミクのおかげで皆に言葉を伝えられたんだってこと、忘れてしまったから―――僕は『虎の威を借る狐』になってしまったんだ―――――。
「ミク……ミク……!僕は……僕はっ……!」
何とか言葉を紡ぎだそうとしたその時。
―――ザザ……ザザザッ……ザザ―――――――
「!!?」
突然ノイズが走り、画面が乱れだした。
乱れる画面の奥で、きらりと何かが光った。そして響く声―――。
『《ガラクタ》のあたしの声。もう一度だけ、この声で歌ってくるよ。』
『《ガラクタ》のあたしを救ってくれた、他の誰でもない君のために。』
『軋む体―――その限界すらも超えて―――――!!』
「!!ミ……ミク!!待っ―――――」
―――――ブツッ―――――
無機質な音を立てて、画面が消えた。
僕は思わずそこで立ち尽くしていた。
バカだ。僕はバカだ。
ずっとミクは。ミクは僕のことを見ていてくれたのに。
僕は一夜の夢を見失ったからって、それを全てミクに押し付けて逃げてきたんだ―――。
「ミク……ミク……!ごめん……ごめんよ……!!僕は………何もわかっちゃいなかった………!!」
どれほど嘆いても、どうしようもない。
ミクはもう行ってしまった。
今僕がミクにできることと言ったらなんだろう。
恐らく……たった一つだけ―――――!!
「くっ!!」
僕はパソコンの前に散らかったCDや機材やらを全て蹴散らし、スペースを作った。
そして真っ白な五線譜と、愛用の鉛筆を取り出した。
そうだ―――曲を書くしかない。ミクに届けるための曲を。
「題名は……そうだ……!『ODDS&ENDS』……!ガラクタ……半端者……。……これはミクと……そして僕の話だ!」
僕は鉛筆を振るって、音を書き込み始めた。
【自己解釈式二次創作風小説】ODDS&ENDS~歌姫《ガラクタ》と僕《ガラクタ》の二重奏《デュエット》~③
さぁ、急展開の場面に一気にはいって行きます!
こんにちはTurndogです。
ryoさんもこんなこととか、あったんですかねぇ。
『虎の威を借る狐のくせに』―――――苦しいでしょうね、こんなこと言われたら。
『『嘘だろ、嘘だろ』ってそう泣き叫ぶ―――――』
コメント2
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ご意見・ご感想
しるる
ご意見・ご感想
トラの威を借るキツネ
少し、分かる気がしますが……
本当にボカロが好きな人は、そのボカロと共に作品をつくりあげているわけで
それは自分でわかっていればよくて……
私やイズミさん、ターンドッグさんも、彼らの力をかりて作品を書いているけれど、それで繋がりができたなら、それでいいじゃないか。ねw
2013/03/04 23:47:23
Turndog~ターンドッグ~
どんなにボカロの力を借りて大きくなっても、我々の場合所詮その名声はピアプロ内、どんなに広がっても二コ動内でしか使えない。
だけど―――――例えばryoさんのように大きくメディアに出て行った人では、その言葉は鋭く突き刺さるほどの威力を持ってしまう。
そういう意味でも、この曲はryoさん以外の誰にだって作れませんねぇ。
2013/03/29 14:29:43
イズミ草
ご意見・ご感想
そ、そういうことですか!!
おお!
がんばれ!
応援してるのはミクだけじゃないぞ!
2013/03/01 21:22:14
Turndog~ターンドッグ~
そうだ頑張れ!
某性転換っ子も応援しているはz(危ない!セーぇフ……((なんだよ一体
2013/03/01 21:39:15