暖炉の炎が煌々と霞む自意識を照らしだして
絵の具はやがて泥に変わり、それでも眩暈(くるめき)、美しく

各自(てんで)の愚劣をぶら下げた、狂いに狂った蒙昧どもの
批評家気取りの値踏みの目、ここに価値あるものはないさ

誰も見たこともない景色を誰にも見せることなく描いた
朽ちゆく心に讃美の歌を礼讃の声を死に花に泪を

群青に染まりゆく箱庭に咲くはとりどりの
悲しみに満ち満ちた不揃いな造花で花束を
痩せぎすに瞬いた新月を食むは白鯨の
遊波が凪いだ街、その暗がりに色を塗るよ

行き場を無くした感情が天鵞絨のインクに混ざれば
炉棚(マントルピース)の天使たちさざめき静寂(しじま)をかき消した

気取り屋たちの迂愚な声、卑しい快楽(けらく)を引き連れては
価値すら解さぬ哀れな目、げに見るべきもわからずに

誰も見たこともない景色を誰にも見せることなく描いた
餓える魂に一縷の笑みを一切れのパンをせめてもの祈りを

リキュールに沈みゆくアトリエが生むは雛鳥の
そのうち枯らした尾羽を癒やす止まり木の木漏れ日よ
憂鬱を吸い込んで蝶よ花よと育む夢
両の手で温めて孵るその時を待ちわびた

枯れた造花に恵みの落涙を 素晴らしき日々にただただ祈りを
頑是無き夢に帆走る希望を 途切れて消えた視野の先で

滔々と 雄弁に語ることなどできないけど
誰からも愛されるような人にはなれないけど
あんなにも美しく歌うことなどできないけど
カラカラのこのペンで君の心象に絵を描いた

群青に染まりゆく箱庭に咲くはとりどりの
悲しみに満ち満ちた不揃いな造花で花束を
痩せぎすに瞬いた新月を食むは白鯨の
遊波が凪いだ街、その暗がりに色を塗るよ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

せめて一花の祝福を

「せめて一花の祝福を」の歌詞

閲覧数:10,360

投稿日:2014/05/09 23:05:46

文字数:708文字

カテゴリ:歌詞

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