煤煙燻る夜汽車につゆ揺られて、辿り着いたは無人境
憂き身に独り沈む私をもっと寂しがらせよ閑古鳥
繙(ひもと)き、読み解きまた繰(く)る頁(ぺーじ)
切れ切れ幾片(いくひら)の言葉が舞う
ひた集め知らぬ間に崖の縁
探しものに終ぞ出会わぬまま
草臥(くたび)れ折れる赤茶けた羊皮紙が押し拉ぎあう書架の森
おどろに乱れ絡みつく憂鬱を洗い流せよそぞろ雨
目眩く捲られ巡る頁
散り散り幾葉(いくよう)の紙片が降る
追いかけていつしか道なき道
ここからはさ自分で選びなよ
ワールドエンド&ブックエンド
ダイブ!世界の縁から飛び降りて
それだけ並べ立てたのなら
助走は十分でしょ?
まだ見ぬ未来を簡単に
綺麗な言葉に変えちゃってさ
騙されることもできない私は
ほんと……どうすればいい?
草陰青む懐かしい匂いすら今は洋墨(いんく)の香に消えて
あの日の記憶を忘れゆく私の心知らずや造り花
解けては結ぼれる赤い糸
末枯(すが)れてはまた芽吹く夢の木々
ぞんざいに閉架の書庫に仕舞い
悪し様にえへらえへら嗤うの?
冬の短日(みじかび)が夕映え連れたら
あの象牙の塔へ行こう
絶えず寄る辺なく吐き出せぬ願いを
叶えてくれよ箒星
この広い世界を見渡したら
自分の小ささに気づいたんだ?
何かと比べることをしないと
何も測ることができないのかい?
ワールドエンド&バッドエンド
ダイブ!世界の縁に足をかけて
それだけ高く積んだのなら
さぞや気持ちいいでしょ?
まだ見ぬ理想を追いかけて
追いつき、追い抜きいつからか
理想に追われる毎日で
ほんと救えないよな
明日が来るという当たり前がなければ栞も意味ないのでしょう
続きを読む日は訪れないと知っていながらも栞を挟んだ
希(こいねが)い願いまた繰る頁
堆(うずたか)く高く洋紙が積もる
頽(くずお)れて折れては立たぬ心
探しものに終ぞ出会わぬまま
何かを違えた私たちは悲しまずにはいられないけど
慰めのハッピーエンドなら惨めになるだけだ
ワールドエンド&ブックエンド
ダイブ!世界の縁から飛び降りて
それだけ並べ立てたのなら
助走は十分でしょ?
垂直落下の逃避行
鳥になんてなりたくはないな
私は私のままでこの
空を飛びたいだけ
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ブクマつながり
もっと見るそこのけ、広き海へ渡る船、
帆、よく揺れて知らぬ瀬戸も青
釣り餌を食む魚や水面に待ち
〈そこのけひろきうみへわたるふねほよくゆれてしらぬせともあおつりえをはむさかなやすいめんにまち)
青めく空さえ飲み込む摩天楼に
治癒もせぬ羽を癒やす鳥、
星、引き連れ夜更けへ渡る中
(あおめくそらさえのみこむまて...暗ム明ラムパングラム

HaTa
寄る辺のない孤独な旋律はたおやかに谺(こだま)する夜の声と消え
幸福はアイスのように溶け落ちて
少女は淡い本の上で踊る
呵々(かか)と笑う鈍色の月
不束かな夢を一齣(ひとくさり)の言葉で結べ、
繰り返す放課後はやがて時を止め
少女はかくて夜に溺れていく
憂い、...文学 in the 少女

HaTa
遠雷のように鳴りひびかう太鼓の音、地を這って
諸人(もろびと)賑々しく歌い、てんでに言祝ぎ、手を叩く
誰(だ)がためにでもなく、自分のためだけにさ柏手(かしわで)を
信じて仰ぐに足るものはここには何もないさ
突として湧いた蟠る感情。泥(なず)み淀み響(どよ)み胸に残る
神の居ります、在(ましま)す、...騒がば踊れと虚無の国

HaTa
夕立呷り朱(あけ)染まる市街がぐでんぐでんと夜を吐いて
鬼灯みたいな飛行船団が寝入りばな君を誘った
左手(ゆんで)すり抜けたペーパーバックは溺れたように宙を舞って
夢と現実を綯い交ぜにしては歪な地平の夢路を行くけど
起きれば昨日の延長がただただ続いていくだけで
過ぎたる景色の群像を追って、走って、手...螺子式夢遊船

HaTa
うらぶれ旧市街 靴の音
夜天銀天の夜もすがら
調子の外れた樂音で沸く
虚しく豪奢なパレードだ
鋳型にはまった瑪瑙の星
赤い幻燈 夜市を射す
祈りをま喰らう広場の慾
踊れぬ私は所在なげ
蓄音機から天の声 戯曲を諳んじるように語る
やがて言の葉は散りぬれど 伝えることなど何一つないさ...そぞろサンクスギビング

HaTa
ボトルシップクロニクル
暮れ行き泥(なず)む斜陽と影
茹だる海の火照り尾を引いて
我儘、気儘、波を辷る
酔いどれ帆船の舵をとれ
一体何を探してるの?
一疋、嗤った回遊魚
回らぬ時計はさておいて
青い鳥の啼音(なきね)の後を追え
昨夜(よべ)の不安と気がかりな夢と...ボトルシップクロニクル

HaTa
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