「また値が上がったんだよ。」
小麦屋のおかみさんが、請求金額が多いわよ、と指摘した私に言った。
「またって。先月も上がったばかりじゃない。」
「しょうがないよ。特に農作物は土地税が上がったから、品物の値段も上がるさ。」

土地税といえば、土地を農民に貸している貴族などの領主が土地代として徴集している税。
土地代が上がれば、そこで作っている農作物の値も上がる。
分かりやすい図式ではあるけど
「この国では王さまが土地税の金額を定めてたじゃない。なんで上がるのよ。」
おかみさんは小麦を小袋に分けながら、フン、と鼻息を粗くした。
「それが無くなったのさ。領主への税金も上がったから、特別措置だとさ!」
はいよ、と渡された小袋を抱えて、私もため息をつく。
「このまま税が上がり続けたら、うちのパン屋は廃業になっちゃうわ。」
「うちはそれより先に干上がっちまうね!」
いつも勢いのいいおかみさんも、今回ばかりはちょっと参ってるみたいだった。
悪い気がして、
「ごめん、おばさん。今度、おばさんちの子供にお菓子持ってくるから!」
そう言った私に、おかみさんは豪快に笑って、
「気ィ使わなくていいよ、お互い様さ。」
とバシンと私の肩をハデに叩いた。

小麦屋を出て、市場を通る。
町のあちこちで囁かれ続ける不安。
上がり続けている税、国民に知らされず決まっていく政事。
誰もが不安と欺瞞に満ちた毎日を送っている。

あれから、閉じられたままの門。
この門が次に開けられる頃には、
王女さまも前王のような立派な君主になっていらっしゃるだろうか・・・。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

悪ノ華  ~第三章 リグレットメッセージR/side 2~

悪ノ娘、悪ノ召使、リグレットメッセージという曲を
書き手の勝手なイメージで二次創作したものです。

こちらは、個人の勝手な創造や捏造設定で書かれておりますので
実際の歌詞や、原曲者さまの裏設定とは違っております。
ご注意ください。

また、それぞれの歌に、ご自分でお持ちのイメージがあり
他のイメージを受け入れたくないという方は
どうぞ、ご自分のイメージこそ大切になさってください。
こちらのテキストなぞは、スルーしていってください。

※注意※
基本的に悲しいお話となります。
苦手な方は読むのは止めた方がよいかと思います。

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閲覧数:317

投稿日:2009/07/20 14:34:03

文字数:669文字

カテゴリ:小説

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