リビングでは、先に相談が終わったリンがコーヒーを淹れていた。レンにしては珍しく、ブラックで飲んでいる。
 (リンとのこと、どうするかな)
 雅彦にいわれたとおり、リンに対してどう告白すべきか考えているレンだった。しかし、昨日寝れていないこともあって、全く妙案が浮かんでこない。昨日寝ていないことをカバーするためにブラックのコーヒーを飲んでいたのだが、レンを見る限り、あまり効き目はなさそうだった。最も、仮に頭が冴えていたとしても、レンが妙案を思い浮かべるかどうかについては微妙な所だったが。今のレンは、考えれば考えるほど、思考の袋小路に入ってしまっているようだ。
 レンがそうやって考えていると、やがてミクの部屋からリンが出てきた。飲み物を求めてリビングに来る。しかし、リビングに入った所で、リビングにレンがいることに気がついて、固まった。
 「り、リン、どうしたんだよ」
 レンが問いかける。
 「な、なんでも無いわよ、そういうレンこそどうしたのよ」
 リンに聞き返されるレン。まさか、リンのことでどう切り出すべきかを考えていたとはとてもいえない。
 「なんでも無えよ」
 ぶっきらぼうにいうと、レンはコーヒーを入れたカップを持って、リビングを出て行った。
 「…」
 普段のリンなら、ここでレンに対する軽口の一つでも出てくる所なのだが、レンのことで頭が一杯だったリンには、その軽口も出てこなかった。レンがいなくなったリビングを見渡すと、コーヒーを入れるサーバーが見えた。ちょうどコーヒーが残っている。リンは自分のカップを出すと、残ったコーヒーをカップに入れ、さらに牛乳を入れて温めた。温めたカフェオレを手に、どうすべきかしばらく考えていたが、リンもリビングを出て自分の部屋に戻っていった。
 しばらくすると、雅彦が自分の部屋から出てきてリビングに来た。リビングを見ると、机の上に空になったサーバーがあった。恐らく家にいるリンかレンが飲んだものだろう。そのサーバーを手に取り、食洗機に入れてスイッチをかけた。そして冷蔵庫から飲み物を出し、自分のカップに入れる。そうしていると、ミクも自分の部屋から出て来て、リビングにやってきた。ミクは何やら考えている様子だった。
 「雅彦さん」
 「ミク、どうしたんだい?何か考えている様子だけど」
 「…ええっと、リンが私に相談に来たんです」
 「ひょっとして、レン君のことかい?」
 「はい、そうです」
 「そうか。実はちょうど僕の所にもレン君が相談に来ていたんだ」
 「リンのことですか?」
 「ああ、そうだよ」
 「相談するタイミングも一緒なのは、あの二人らしいですね」
 「そうだね」
 そうやって、しばらく考え込む二人。
 「あの二人も、色々と大変だね」
 「そうですね」
 何をすべきか考える雅彦。しかし、家にいては、妙案が出てこない気がしていた。
 「…ねえ、ミク、一緒に散歩しないかい?」
 「今からですか?」
 「ああ、あまり人の来ないところを歩いて、そこで、二人が何を話したか、お互いに話して相談しないかい?そうすれば二人のために何かできるかもしれないな」
 「それは構いませんけど…。でも、リンとレンを二人きりにして良いでしょうか?」
 「スケジュールを見たけど、KAITOさんとMEIKOさんがそろそろ戻って来られるから、それはそれで良いんじゃないかな。どうしても気になるなら、お二人が帰ってこられてから出かけても良いし」
 「分かりました」

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初音ミクとパラダイムシフト4 1章13節

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投稿日:2017/03/08 21:43:16

文字数:1,453文字

カテゴリ:小説

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