悪ノ・ストーリー 第七幕
投稿日:2011/09/11 18:23:32 | 文字数:2,199文字 | 閲覧数:297 | カテゴリ:小説
最終回
~エンディング~ 白の娘
「生きていてごめんなさい。」
いつのまにか口癖になっていた。
弱音ばかり吐いて、つまらない人生の日々を送っていた。
街の人たちはみんな緑色の髪。
私だけ仲間はずれの白い髪。
いつしか私は森の奥で暮らしていた。
森の奥の千年樹にいつも一人で願いをかけた。
孤独で行き続けることはとても寂しい。
だから、
「誰でもいいから、私の友達になってほしい。」
と、願いをかけた。
彼女とあったのは千年樹のすぐそば。
倒れていた彼女を助けたのがきっかけ。
いつのまにか私と彼女は仲良くなっていた。
彼女はミクという名前らしい。
だけど私と彼女は何もかもが違った。
街の中で誰よりもきれいな緑色の髪。
優しい声と笑顔。
街の誰からも愛される彼女。
私はある日彼女に聞いてみた。
「どうしてこんな私にも優しくしてくれるの?」
自分より劣る女を憐れんでいるつもりなの?
彼女は小さく首を振り、そして私を抱いて
「あなたは誰よりも素敵な人よ。少なくとも・・・」
最後の言葉は小さな声だったが
少なくとも私よりは・・・。
だった。
なにがだろう?あなたはとってもいい人なのに。
けれどもこんな私を必要としてくれる人がいることに涙がこぼれた。
たとえ世界の全てが私のことを笑っていようとも、
私のことを必要としてくれる人がいることが、
私にとってはすっごく幸せなことだった。
二人で街を飛び出して別の街で暮らし始めた。
不慣れな生活でも彼女が私に何でも教えてくれた。
ある日突然彼女が母国、緑の国へ戻ると言い出した。
「ごめんなさい。緑の国でやらなければならないことがあるの。」
「私も行ってはいけないの?」
「・・・ごめんなさい。」
彼女のとてもつらそうな顔。
どうしたのだろう?
「どうしてもやらないといけないことならいってきて!私は大丈夫だから!」
私は言う。彼女はありがとうと言うように頭を下げた。
数日後に聞いた。
緑の国が滅びたと。
緑の国へ行っていた彼女も巻き込まれて亡くなってしまったらしい。
みんなみんないなくなってしまった。
白い髪の私以外。
彼女の変わりに私が死ねばよかったのに。
どうして?どうして?
その日の郵便で届いたものの中に彼女からの手紙が入っていた。
「 ハクへ
いきなり緑の国へ行くと言い出してごめんなさい。
ハクがこの手紙を読むころは、私はこの世にいないかもしれないけれど、
私がハクに緑の国へ来てもらいたくなかった理由を聞いてほしかったの。
実は、私には未来が見える能力があるの。
私が見た未来の中では私は黄色の国に殺されなければならなかったの。
でも、ハクには生きていてほしかったから・・・。
自分を責めないで。
そして、ありがとう。
ミク
」
彼女が最後に書いた手紙。
私ただ立ち尽くすことしかできなかった。
黄色の国の港で新たに暮らし始めた。
革命でこの国の王女が死んだと、うわさで聞いた。
あの子とであったのは港のすぐそば。
倒れていた彼女を助けたのがきっかけ。
最初はおびえていたあの子といつのまにか私は仲良くなっていた。
でも私とあの子、何もかもが違った。
私があの子に貸してあげていた部屋で突然聞いたあの子の泣き声。
あの子は写真を抱えて
「ごめんなさい・・・。ごめんなさい・・・レン・・・。」
と泣いていた。
写真が見えた。
写真に写っていたのは、ドレス姿をしたあの子と、
あの子によく似た少年が写っていた。
嗚呼、何てことだろう。
あの子は死んだはずの
悪の娘
街外れの小さな港。
一人たたずむあの子。
背後から近づく私。
懐からナイフを取り出して王女の背中に向けて振り上げた。
「!」
一瞬だが、この子がもっていた写真に写った少年がこの子を守るように立っていた。
ナイフを落とす私。
あの子は振り向いて
「ハク・・・さん・・・?」
と言う。
彼女の目が赤い。
ここで泣いていたのだろう。私は彼女を抱きしめた。
あなたに誤らなければいけないことがあるの。
私は結局あなたの仇は取れなかった。
あの子は昔の私。
孤独な時の私。
一人で行き続けることがとても寂しいことを私は知っている。
だから私はあなたが私にしてくれたことと同じようにあの子にしよう。
あの子があなたを殺したことは許さない。
けれどもあの子が、一人で孤独に生きる姿が見たくなかった。
出会ったときは何もできなかったあの子。
今では少し料理ができるようになった。
「ハクさん!上手に焼けたの!食べてみて!」
今日のおやつはあの子が焼いたブリオッシュ。
あの子が作りたいといったブリオッシュ。
とっても上手に焼けている。
あの時、あの海辺で見えた幻覚。
今でもたまに見える。
あの子のそばに。
あの少年は誰なのだろう。
また時間があれば聞いてみようかな。
オススメ作品10/29
-
命に嫌われている。
命に嫌われている
「死にたいなんて言うなよ。
諦めないで生きろよ。」
そんな歌が正しいなんて馬鹿げてるよな。
実際自分は死んでもよくて周りが死んだら悲しくて
命に嫌われている。
-
お出かけ日和/feat.初音ミクNT
『お出かけ日和』
〜準備中〜
1.鳴く鳥が 集う日に
2.「おはよう」の 挨拶を
3.お出かけの 服を着て
お出かけ日和/feat.初音ミクNT
-
「素晴らしい楽園」
カーテンの隙間から 差す陽が目を刺すんだ
毎度毎度 吐き気がしてる 夢すら観させてくれない そんな朝だ
空の酒瓶が散らばった床の中にある 履き潰してた靴の中でくすぶってる
輝く明日が来るのが
今なのか?明日なのか?わかりやしない
「素晴らしい楽園」
-
ブラックペッパーナイト/短編
夜を胸いっぱいに吸い込む。季節は冬が近く、空気は冴え渡っている。
明日には地下へ向かわなければならない。この星ほどの夜景を後にして。
ギラギラした夜景と天空の月光が、星を食うように光っている。
高層ビルの上から見る夜景って言うのは、「沈み込みたくなるような衝動」を起こさせるものだ。
「何かお願いしてみたら?」と、彼女は言う。「最期の願いくらい、叶うかも知れない」
ブラックペッパーナイト/短編
-
エイリアンエイリアン(歌詞)
ゆれる街灯 篠突く雨
振れる感情 感覚のテレパス
迷子のふたりはコンタクト
ココロは 恋を知りました
タイトロープ ツギハギの制服
エイリアンエイリアン(歌詞)
-
廃墟の国のアリス
廃墟の国のアリス
-------------------------------
BPM=156
作詞作編曲:まふまふ
-------------------------------
廃墟の国のアリス
-
猫猫的宇宙論歌詞
猫猫的宇宙論 なんも知らないまんま
アイラブユーを唱える 尊い感が麻薬的
宙宙に夢中で 前と後は機械的
あー嫌嫌 そんな愛は要らないな
乾乾照りの惑星で ピンクが弾け
猫猫的宇宙論歌詞
-
メンタルブレイカー
「正直者は馬鹿を見る」
何回も見てたのに経験してたのに男を見る目が無い私は本当に馬鹿よね
ボタンの掛け違いすれ違い
大切なものを失う代償は高くつく
出る杭は打たれ続ける
メンタルブレイカー
-
【小説書いてみた】 神曲
おにゅうさん&ピノキオPと聞いて。
お2人のコラボ作品「神曲」をモチーフに、勝手ながら小説書かせて頂きました。
ガチですすいません。ネタ生かせなくてすいません。
今回は3ページと、比較的コンパクトにまとめることに成功しました。
素晴らしき作品に、敬意を表して。
【小説書いてみた】 神曲
-
祝!曲化 「まだ届きますか」
A1
私の歌「まだ届きますか?」
貴方の深き傷跡へ・・
S1
再び舞い上がるその時期(とき)までに
祝!曲化 「まだ届きますか」
VOC@LOID 大好き~
ボカロの歌詞小説を書いているので、挿絵など描いてくださればうれしいです!!
注文デモして頂ければがんばって書きたいとも思っています!!