白が降り注ぐ景色、すべてがただ一色に染まってる。地面も空も白に包まれ、音さえも吸い込まれた様に世界は静寂だった。
その中をキシキシと足元の雪を踏みしめ、白い息を空に吐きながら歩みを進める人物がいた。黄色の髪に落ちた雪を気にする様子もなく、首に巻かれた青いマフラーを大事そうに着込んでいる。
「………」
その顔立ちは少年と言うには大人びていて、青年と言うにはどこか幼さが見える。その背格好からどうにか、彼が男であることが認識できる。
彼は黙って雪が降り注ぐ中、雪を掻き分けて歩き続けた。暫くして白い景色に大きな一本の大きな枯れ木が表れ、彼はその木の前で足の歩みを止める。
「やあ、今日も冷えるね…」
まるで誰かに話しかけるように、彼は口を開く。道中無表情だったその顔はとても優しく、どこか悲しげだった。
「あれから、三年になるんだね。僕以外、もう誰も居なくなった…」
言いながら手から手袋を外し、首に巻かれたマフラーも脱いで手に持った。手袋をポケットに収め、手にあるマフラーを木の枝に優しい手つきで巻いやる。
「…分かってる、寂しいなんて言わないよ。だって君は、僕の側に居るから」
彼は見上げながら、大きな枯れ木に向かって語りかける。その目はまるで、木の先に誰かを見ているようで。
「それに約束したしね。君の為に、『優しい歌』を歌うって」
彼は指先が寒さで冷えるのも気にせず、枯れ木にそっと掌をあてた。そうする事で、誰かの温もりを探るかのように。
「だから、聞いてくれるよね?僕の歌を………」
木に触れながら彼は、静かに歌い出す。音のない世界にはただ、彼の声が静かに響き渡る。
それはとても優しく
それはとても切なく
それはとても儚い歌
まるで願うように
何かに請うように
誰かに祈るように
白に飲み込まれた世界で
彼は一人ただ歌い続けた
*
目を開けばそこは白の世界、だが不思議と寒さはまるでなかった。いつの間にか横たわっていた身体を起こし、周りの空間を眺める。
違和感に気づいて自らのの身体に目をやれば、その姿形は昔のものであった。まだ彼女が生きていた、あの頃の自分。
ふと思い立ち上がって後ろを振り向けば、視線の先には大きな木の隣に一人の少女がいた。自身と同じ髪の色とよく似た顔立ちに、見慣れた大きな白いリボン。
少年はゆっくりとした足取りで、少女の目の前に歩み寄る。手を伸ばしてその存在を確認するように、少女の頬に優しく触れた。
「…おかえり、リン」
「ただいま、レン」
少年は笑顔でそう言って、少女は笑顔でそれに応えた。少女の身体を少年は優しく、力強く抱き締める。
「リン…僕、リンにたくさん言いたいことがあるんだ」
「私も…私もレンに言いたい事、いっぱいあるの」
言葉にしたくても言えなかった想い
言葉にしなくても伝わっていた想い
それでも言葉にしたくて
それでも聞いて欲しくて
ただ一言
『愛してる』と―――
*
音なく雪が降り注ぎ、世界を白に染める。その中には一本の大きな枯れ木があり、枝に巻かれたマフラーが時折吹く風に揺られている。
根本には白が敷かれた地面に、彼の横たわった姿があった。そこからはもう、あの歌声は聞こえてこない。
しかしその表情は歌っていた時よりも、とても幸せそうな物だった。降り積もる雪は彼のかつての願いを叶えるかのように、ただ静かに全てを包みこんでいった。
(これからはずっと、僕らは一緒だよ)
白しかない世界で
ひとしずくPさんのsoundless voice(nicovideo/sm4977896)とproof of life(nicovideo/sm5387156)の、少し後の勝手な妄想文になりますw
好きな曲なので、こうして文を書けて良かったです♪
まだスランプから脱しきれてないですが、頑張って書いていきます!(汗)
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まふまふ
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