冗長なくらい淑やかな朝
舐められるような湿気に包まれ
常温の水で喉を浸したらルエリアたちが囁き始める
不潔で卑しい噂が曰く
紅いリボンで着飾ってみたり
唐突に髪を切ったりするのは春夏秋冬と言うらしい

生々流転 それは本当?
黙っていても廻ってる日常
この鉄格子の揺籠の中に移ろうものは何も無いけれど
ただ枯れ果てていくこととか
ただ美貌を失うことだとか
逆らえない焦りの向こう側にある
風景に惹き込まれていく

引き出しの奥に隠したノート
月への願いで埋め尽くして
黒いインクを滲ませたなら菫のように藍くなれるの
枝を切られて また縛られて
小さな言葉も摘み取られて
私は何者になるの?

ずっと逃げ道を探してる この狭い温室で
馴れ合うサフランの振り撒く嘘から遠く離れたいのに
硝子の向こう側への扉を知らないの
一歩も踏み出せないまま 夕陽に囚われて
ツツジの葉が落ちる

ハイビスカスが煩く騒いで
窓辺に居るのが最適解とか
結局温室から出ても当てのない
根無し草になると言う
花弁を閉じても鬱陶しいほど
リフレインしていく閉塞感
仄暗い洞窟に巣を張って潜む
ガジュマルに飲み込まれていく
「元気がない」って肥料飲まされて
水を浴びるほど与えられるけど
この枝葉じゃ受け止め切れないし
益々性根が腐る気もする
視界の隅を行ったり来たりの世間体だとか身の程とか
もうどうでもいいから教えてよ
このプランターを出る方法を

重なるフィットニアの
斑な草陰に花束を隠して

誰かの言葉を写したノート
躾に従うふりをして
色の掠れた曇りの朝に決まり事を一つ破った
葉を千切られて 風揺られても
窓の外で佇んでいる紅葉のようになれるなら

耳を塞ぎながら駆けてく この檻の向こうまで
セピア色にくすんだ夢を押し付ける誰かの為じゃなく
夕焼けも溶かすような紅に染まりたいの
ハーブの中庭を抜けて 蔓を振り払って
今 扉を開くの

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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ファレノプシスの温室

東北ずん子オリジナル曲「ファレノプシスの温室」の歌詞です。

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閲覧数:171

投稿日:2024/08/17 20:34:37

文字数:809文字

カテゴリ:歌詞

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