炎の海で見(まみ)えた 黄泉(よもつ)の使徒は
たおやかに微笑み 復讐の赫を差し出す
澄まさせた耳朶を 擽る囁き
火の粉と共に散るか 狗(にく)を爛(ただ)す爆ぜ音
嗚呼 風の咎餓狼は
朽ち果てぬ愛(哀)を 胸に焼き付けて
嗚呼 その姿蒼く
黒に沈んで夜の森を 駆け抜ける
血潮香る鎧が背負った 命の重さ
枷よ 解けよ
風よ 鳴けよ
虚ろな夜空を瞳に映し 孤独の理を説く
刃と肉が断末魔を奏で 静寂と別れる
帳の奥で黒金が嚼む 嚥下の咽を狙いても
狩人の弓が月明かり かの一矢さえも射せぬ標的
嗚呼 闇で餓鬼狼が
途絶えぬ光(怒)りを 飲み乾し砕く
嗚呼 凍てつく眼差し
その最奥の激情が全てを 凍らせる
傷ついた物言わぬ背が語る 戦いの痛み
爪よ 断てよ
牙よ 吼えよ
嗚呼 孤高に佇む
手負いの野狼 音も無く清(棲)んで
嗚呼 地平の底より
這出る降魔の刻を待つ 渇望
暮れを背負いても影見えぬ 真逆の希望
夜に 餓えて
悪を 絶てよ
我等が往く路は又と無い 永遠の輪(和)廻(音)
夢を 綴じて
愛に 散れよ
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