「ここは…?」
私の周りは一面の真っ白な壁。
ここって病院?・・・でもなんで?
微かな頭痛。僕は右手で自分の髪の毛を掻き上げた
「私は…何でここに居るんだろう?」
記憶が曖昧でよくわからない、私はどうしてここにいるんだ?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あ・・・・・
一つ・・・一つだけ思い出せた。
私の大切な人。私の支えになってくれた大切な人。
だけど、君は今どこにいるの?
「…会い…た…い」
【君がどこに居るのかわからない】
涙が私の頬をなぞった。
なんで涙が出たのかなんて知らない。わからない。
同時に記憶が徐々に蘇ってきた
今までの 【楽しかった記憶】【嫌な記憶】【嬉しかった記憶】【大切な記憶】
少し思い出したんだ。
_______________________
「すぐ帰ってくるから 待ってろよ?」
「嫌だ、私もついてく。どうせ家に留守番してても暇だし。」
「じゃ、荷物持ちさせるぞ~?」
「別にいいよ?」
「…いや、それは男の俺としてなんか駄目だ…」
「な~に~が~?」
「なんでもねぇーよ」
君はそう言って笑った。
君がまだ笑ってる、優しさに満ち溢れた笑顔で。
_______________________
でも…なんでだろう。そのあとの事が思い出せない。
なにか 大事なことがあったのはわかる。
なんだっけな?
…思い出そうとすると頭が痛くなる。
涙も止まることなく流れている。
「君は今どこにいるの?」
ほとんど一緒に居た君がどこにもいない。
心配性で強がりで誰よりも優しかった君。
「どこに行けば会える?」
もうすぐ日が暮れてしまう。
私は病院の外に飛び出した。
必死に走って君を探していた、息を切らして、君が居そうな場所を全て探した。
だけど居ない。君の家のチャイムをならしても返事はなかった。
私は立ち尽くした。後に小雨が降ってきて容赦なく私の体温を奪っていく。
――消えてく
――生きてる
――生まれる
――死んでく
途端に頭が真っ白になった。何も考えたくなくなった。
_______________________
よそ見をしていた運転手が赤信号に気づかず
キィィィィィィィィィィ……
急なブレーキ音。運転手は慌ててブレーキを掛けてハンドルをきった。
だけどダメだった。止まれなかった。そのまま突っ込んできた。
「危なッ…」
ドンッ…
「ッ………え…?」
私は、君に背中を押され、かすり傷と頭を軽く打っただけですんだ
でも目を開いた時、私の目の前は地獄絵図みたいな場所に変わっていた。
誰かの悲鳴があがり、賑やかな町は一瞬にして凍りついた。
あまりの酷さに吐き気がした…だけど、その吐き気さえも吹き飛んだ。
真っ白になったんだ。
だって地獄絵図みたいな場所に…その中に君が居たから。
真っ赤だった。
信じれなかった。
信じたくなかった。
今度は私の泣き叫び声があがった。
だって、目の前で大切な人が……
______________________
そうだった。思い出したよ。
君はもう、ここには居ないってこと
優しさに満ち溢れたあの笑顔はもう二度と見れない
君に触れることは もうできない…
一緒に喋る事もできなくなってしまった。
ずっと傍に居たかったのに。
君がいないんじゃ…僕は…
「………ッ…ぅ…(ポタッ……ポタ…」
目が熱くなる。声を殺して泣いた。
信じたくないけど、信じなきゃいけない。
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もう、私の声は君に届かない。
君の声も二度と聞けないんだね。
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もしかしたら会えないかもしれないけど、会えなくても嫌いになんかならないよ。
私は赤信号に飛び出した。
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もうすぐ会えるよ。…待ってて。
急なブレーキ音。大型のトラックが私に向かってくる。
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…………………トラックが私とぶつかった。
~Fin~
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