#1 世界にたった一つの音
ミク「カナタってさ、昔からちっとも歌上手くならないよねぇ」
ミクは嫌味ったらしく話題を振ってくる。
カナタ「知るか、音を作るのに忙しくて歌ってる余裕なんて無いわ。お前さえ歌っていれば充分だろ」
ミク「そうじゃなくて!」
カナタ「…?」
ミク「たまにはハモリの練習でもしたらどうなのって…」
唐突な話題だったが、心当たりはあった。記憶が蘇る。
………
音楽の先生「ちょっといいかな?片城君、初音さん」
先生から放課後音楽室に呼び出された。
カナタ「なんスか?」
音楽の先生「ちょっと2人で今月の課題曲歌ってみて!」
カナタ「…先生、何の無茶振り?」
ミク「いいじゃん、やってみようよ♪」
ミクが意外と乗り気だった。
カナタ「ミクが調子狂って歌いづらくなったら先生の責任ですからね」
音楽の先生「さて、それはどうかなぁ?」
カナタ「んだと…?」
ミク「やってみれば分かるよ」
ミクは俺より先に察した。
まるで、俺以上に俺の事に詳しいかのように。
………
………
カナタ「まだ俺の声に期待してんのか、本当に物好きだねぇ」
ミク「だって、あんな自然にハモリ出来る人なんてウチのスタジオには居ないもん」
カナタ「…ったく、どうやって練習すんだよ。発声練習ですら音程おかしいのに」
実際、音楽の先生が手を焼いているこの声の特徴、誰が専門的に知っている事か。
ミク「じゃ今度カラオケのフリータイムでみっちり実践だね♪」
ミクの目が輝いてるのを見てゾッとした。カラオケでミクと2人きりというシチュエーションを想像しようとしても喜べないまでに。
カナタ「絶対無理。ただ屍を持って帰るお前が可哀想だし」
ミク「じゃ屍にならないよう鍛えてからだね!!」
カナタ「鍛えるって…まさか…ッ!!」
_________
ミク「ほら、さっさと行くよ?」
カナタ「ゼェ…ゼェ…やってられるかぁ…」
放課後、ミクに呼び出され、夜のランニングについて行く事に。
なかなかの絶景ポイントだった。星が良く見え、遠くの川がその光を反射し、蛍が揺らめいてる。ミクもいい所知ってるもんだなぁ…と感心した。
追いつける程の体力が俺にあればの話。
カナタ「ミクお前、ジョギングって言ったよな?なんでこんなに急いで走ってんだよ…」
ミク「え?急いでる?」
いつも家のパソコンでDTMをポチポチいじってた俺にとってこのスピードはただの地獄でしか無かった。
カナタ「無理に俺が歌う場面なんて無いだろ…スタジオにはデュエットが上手い男の人くらいいるだろうが…」
俺達2人は、いつもヤマハ直営のスタジオで音楽活動をしている。小さい頃からコンクールの金賞を持って帰って来た俺達二人組は中学で遂にデビューを果たした。俺が音を作り、ミクが声で奏でる、いつからか「音のカナタ」と「声のミク」と呼ばれるまでに。
一旦ミクは足を止めてくれた。
ミク「えー?あんな下心丸出しのオジサン達と一緒になんて歌いたく無いよ~。私の歌声をちゃんと聞いてくれるカナタと歌いたいの!!」
カナタ「あ、はい(察し)」
___ 一瞬、風が止んだ。ミクの周りに蛍が集まる。まるで、ミクが操ってるかのように ___
ミクは真っ直ぐこっちを見て…
ミク「私もちゃんと見てるよ!!キミの声。今度、ライブで一緒に歌おう!!そしたら…」
そしたら…?
ミクが続きを言おうとしたその瞬間…
___ねぇ、あれ何!?___
___彗星!?いや、隕石が降ってくる!?___
___あの大きさ…ヤバいんじゃ…___
その瞬間、視界が…
いや、世界が白い光に包まれた。
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