夜空には、月。
頼りなげな輝きと、近づくものを全て拒み切り裂くような、鋭さ。
ああ、まるで其れは君のよう。

美しく、気高く。
厳しく、志高く。
嘘がつくのが上手だった。
本当は泣き虫で寂しがり屋。
そんな素振り、一度も見せてくれなかったね。
厳しい表情のまま、泣いて。
傷つかないで、なんて。
僕には言えなかった。
僕は君の何を知っていたと言うのだろう。

ああ、ああ。
僕の月よ。
どうか僕を導いて下さい。
君がかつてそうしたように。
頼りなげな輝きと、近づくものを全て拒み切り裂くような鋭さを。
どうか君が、忘れてしまわないように。



月夜には、虹。
頼りなげな輝きと、近づくものを全て包み受けいれるような、柔らかさ。
ああ、まるで其れは君のよう。

優しく、可憐で。
麗しく、清廉で。
演技するのが上手だった。
本当は子供で意地っ張り。
そんな素振り、誰にも見せてくれなかったね。
優しい表情のまま、泣いて。
悲しまないで、なんて。
僕には言えなかった。
君は僕に何を教えてくれたと言うのだろう。

ああ、ああ。
僕の虹よ。
どうか僕を見ていて下さい。
君が今そうしているように。
頼りなげな輝きと、近づくものを全て包み受けいれるような柔らかさを。
どうか君が、壊れてしまわないように。