ある日、電話がかかってきた。本当なら、電話かかってきても絶対取らないけど、今現在家居るの俺だけなので、仕方なく受話器を持ち上げた。
「・・・もしもし」
電話に出ると、どうしても不機嫌な声になる。
『きゃー! 低い声のレンきゅん、きゃわいーい!!』
その声で分かった。これは絶対、マスターだ。
「・・・マスター、何ですか」
『あのね、レンきゅんはもうちょい明るく言った方がいいよ』
「・・・」
全く、話が合ってない。合ってなさすぎる。
『でね、本題に入るけど』
「・・・はい」
『レンきゅんも、仕事しなよ』
「・・・・・・」
『あ、ちがった。もっとたくさんの仕事、しなよ!!』
「俺は、今のままでちょうどいいんです」
『えー。・・・リンちゃんなんて、いっぱいもらってるよー、みかん』
「・・・」
『キロ単位だよ、キロ単位。びっくりしたよ。レンきゅんは?』
「・・・」
答えられない。リンよりかは遥かに下回る。
『ほら、ちゃんとレンきゅんにぴったりな仕事選んできたから―。多分、たくさんもらえるよ、バナナ』
「ほんとですか!」
『えっと・・・レンきゅんにぴったり似合う仕事は・・・』
受話器の向こうから紙をめくる音が聞こえる。マスターはいっつもこんなんだけど、センスはいい方だ。きっと、かっこいい仕事を選んできたに違いない・・・。
だが、
『お、あったあった! レンきゅんは、メイド・カフェで働いてもらうから!』
「メイド・カフェ?」
『カフェ・カフェのルカちゃんが、今年は何か新しいのもやりたいって、週月金土にメイド・カフェとしてレンきゅんにウェイトレス風にやってもらおうと・・・』
「月金土って・・・何か不自然だし、それに、俺、変なことしませんからね!」
『変なこと?』
「あっ・・・。べ、別に・・・何でもないです、何でも」
『そっか。まぁ、本格的なメイドさんとはちがって、・・・』
そこでなぜか黙り込むマスター。
『んー、よく考えたら、そんなに大差なかった☆』
「・・・っ!」
本格的なメイドさんとそんなに大差ないって・・・。
「えっ、じ、じゃあ、俺、誰かにあーんしなきゃだめなんですか!?」
『んー・・・とりあえず、常備猫耳! ・・・あーんしなきゃいけないかは、・・・どうなんだろ、詳しく聞いてない』
「ちょ、聞いて下さい!」
『まぁ、ルカちゃんに色々教わるといいよ。・・・色々ね!』
そう言って、電話は切れた。俺は震える手で受話器を置く。
最後の色々、という部分にはあえて何も言わないが、1つ忘れていた。
それは、ルカっていう・・・人に会わなきゃいけないってことだ。
・・・ため息、ついてもいいかな?
日常的環和 32話 仕事を選べない俺。
こんにちは、もごもご犬ですこんばんは!
結局8個しか投稿できなかった・・・もっとたくさん作ってたのに。
ということで、本日最後の作品は初のレンきゅん中心の話第1弾です!←
・・・っていうか、レンきゅん、自分のこと俺っていうんだね。なんだか意外だなー。
一応、これの続きは途中まで書いて放置してましたが、改めて読み返してみるとなんか盛り上がってて楽しかったです!
続き、書こうかな。
次回は、2月26日に来る予定ですが、さりげなく来るかもしれません! お楽しみに!^^
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