「はじめまして。今日から音楽の先生を務めることになった、山岸大輝です。よろしくね」


私はじっと彼を見つめた。
音楽の先生って、普通、女じゃないの?とか、
チャイムと同時に来た!とか、
結構お茶目!とか・・・


カッコいいとか。


「えー、最初の授業だからまず、自己紹介でもしてもらおっかな」

山岸先生はそう言うと私たちに笑顔を振りまいた。

黒淵の凛々しい眼鏡。それとは反対の
、優しい茶色の髪。
天然パーマなのかな?
所々にクルクルした髪。
そして、円で綺麗な黒の瞳。

ずっと見ていると吸い込まれそう・・・

「ミク!次アンタの番よ」

夢の世界に入る寸前、後ろからきたグミの声に体が大きく揺れた。
どうやら、私の番のようだ。

「・・・名簿番号19番、初音ミクです。」


・・・。
やばい、なにいえばいいかわかんない!

ずっと黙り込んであたふたしていると、周りの視線が急に自分へ向けられた。
そして、それと同時に先生も・・・。

「初音さん?」

「は、はいっ!!」

「緊張・・・してるのかな?」

「・・・・」

ふっと微かに笑う声。
顔を上げようとすると、私の頭が何かに触れた。

そう、それは・・・

先生の手だった。

「大丈夫。なんでもいいから、君のことを話してごらん」

先生はそう言うと、最後に、私の頭をポンポンと優しく叩き、にっこりと微笑んだ。

「わ、私の好きな科目は音楽です。私は小さい頃からずっと、歌を唄うのが大好きです」

ゆっくり、ゆっくり言葉を紡ぐ。
好きな歌手や音楽家、どういう歌が好きなのか、中学の合唱コンクールで最優秀をとったとか、とにかくいろんなことを先生に話した。

先生はただずっと、私の話を聞いてくれた。


今日の授業は自己紹介で終わった。
まぁ、そのほとんどが私のせいで潰れてしまったのだけれど・・・。
グミちゃんと音楽室を出ようとすると、驚きなことに、先生に呼ばれた。
グミちゃんは先に行ってるとだけ言い残して音楽室を後にした。

「初音さん、今日はありがとう。おかげで、君のことが少しだけわかって嬉しいよ」

「いえ、こちらこそ・・・長く時間を取らせてしまって。ごめんなさい」

「いや、いいんだよ。その、さ。ついでといっちゃなんだけど」

「はい?」

「これからも、君のことを教えてくれるかな?」

私のこと・・・?
その時私はどんな顔をしてただろう。

「ふふ、はいっ!よろこんで!」

きっと、嬉しさに満ちた顔をしてただろう・・・。


続く…

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【貴方に花を 私に唄を】微笑み、そして笑顔【二話】

「緊張・・・してるのかな?」

第二話【微笑み、そして笑顔】

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投稿日:2012/10/19 00:31:03

文字数:1,063文字

カテゴリ:小説

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