九月のある日、僕はテレビを見ていると気になる情報番組がやっていた。
『昭和風シンガーソングライター・市村ハルカ(いちむらはるか)』
彼女は、自分で作詞作曲をして衣装も手作り、芸能事務所にも入らず自らライブの手配などをしているようだ。
歌い方が独特で『昭和のアイドル』を感じさせてくれる。本人も昔の歌手やアイドルが好きで、よく聴いているようだ。
その『市村ハルカ』が近所のレコードショップでリリースイベントをやるようなので、僕は見に行ってみた。
僕は子供の頃から古いモノ好きで、レコードを買うのが趣味だった。
CDのリリースイベントというのは、行くのが初めてだった。CDを買うと『特典券』を一枚貰えて、その枚数によって特典が変わってくる。
一枚なら握手とサイン、二枚ならプラス写メ、三枚ならプラス写メとインスタント写真。など、よく考えられた計算になっている。僕は一枚買っていたので握手とサインのみの特典だった。それで充分。今のアイドルというのは、こうしたサービスが売れ行きに繋がるらしい。はじめて知った。それとサインをしてる間、少し話すことができる。だけど初対面の人と何を話したらいいのかなんて僕には解らなかった。
テレビで曲を聴いて知ったことやインパクトのある曲について話した。市村ハルカさんは笑顔でそれを聞いてくれた。そして、最後に「ありがとうございました」と言って握手をしてくれた。
僕がその場から去ろうとするとマネージャーらしき中年の男性から呼び止められて、はじめてですかという質問をされて僕が「はい」というと、そういうサービスなのか「スマホで写メを一枚どうですか」と言ってくれた。僕はスマホをわたしてツーショット写真を撮ってもらった。
アイドルというよりはシンガーソングライターだけど、芸能人と写真を撮ったのはこれがはじめてだった。

この作品にはライセンスが付与されていません。この作品を複製・頒布したいときは、作者に連絡して許諾を得て下さい。

【小説】地下アイドルを推しています。第一章⑧

小説を書いてみた。
その第一章⑧です。

閲覧数:172

投稿日:2019/07/08 17:41:48

文字数:770文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました