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【小説】地下アイドルを推しています。第一章⑦

八月二十七日(日)、僕は声優でアイドル歌手もやっている『本田ヨシコ』(通称ポンちゃん)のライブチケットが当たって見に行くこととなった。 ポンちゃんは、僕が十代の頃から好きでCDもデビューシングルから何枚も持っている。ライブチケットはベストアルバムの応募者全員に当たるもので、僕自身ライブに行くことがはじめてであった。 ライブ会場は幕張にあって、電車で一時間ちょっとなので、それほど遠くは感じなかった。 ポンちゃんこと『本田ヨシコ』はアニメでよくヒロイン役をしていて、主役としても活躍する。いわゆる『人気女性声優』だ。でも、実際にライブで見るのははじめてだった。  ライブ会場は、とても広いホールでキャパ千人ほど入りそうな所だった。 このライブは『ベストアルバム発売記念』の無料ライブ。これだけの人数を無料で招待できるというのは、さすが『人気声優』だなと感心した。 僕は本当にライブに参加するのがはじめてで周りのみんなが持っているような『サイリウム』というキラキラしたペンライトを持っていなかった。自分だけ少し浮いていた気分になった。だけど、面白かったのは自分の三列ほど前の客が工事現場で使うような大きな『LEDスティックライト』を振り回していて、係員から注意されていたのを見たことだ。その人が一番浮いていた。 ライブもクライマックスに近づいた頃、舞台の上では『演劇』のようなものが始まった。 豪華なベテラン声優も声で出演していて、ちょっとしたギャグ要素も取り込まれていて、とても面白かった。 ポンちゃんは、さすが『声優』だけあって演技は素晴らしい。着ぐるみのような『悪役』はポンちゃんのライブを邪魔し出す。 「ふはははっ、お前のライブはめちゃくちゃにしてやる。このライブ会場はオレサマのも支配下だ」 …支配下、せまっ。 僕はついつい心の中で突っ込んでしまった。話の内容的には子供が喜びそうな感じで、正義のヒーローのようにポンちゃんが登場する。 「そんなことは、させないわ」 そう、ありきたりなセリフで舞台の上に颯爽と現れるポンちゃんこと『本田ヨシコ』。 「おおぉぉー」 と、歓声をあげる『大きなお友達』諸君。僕もつられて声を上げてしまった。悪者どもは、瞬く間に倒され寸劇のようなお芝居は幕を閉じた。 最後に本田ヨシコは、ゴンドラのような乗り物で客席の近くを歌いながら廻った。 僕は、はじめて見る『ポンちゃん』の姿にドキドキしながら手を振った。 そして、ライブが終わったあと僕は展示会の方に足を運んだ。展示会では、これまで本田ヨシコがライブで着ていた衣装やCDのジャケット写真、グッズなどが展示されていた。 衣装は、どれもキレイで僕は持っていたスマホで写真を撮りまくった。ジャケット写真は『初回限定版』や『通常版』、シングルからアルバムまで全てのモノが展示されていた。 自分が手に入れられなかったモノは端から端まで写真を撮った。 とても充実した1日が終わった。 ライブの帰りに夕食を食べようとファミレス『ハチミツ』に寄った。いつものように扉を開けるとウェイトレスが案内をしてくれた。今日はリリスちゃんだった。聞きなれた高い声で 「はああぁ~!いらっしゃいませハラトさん」 と、かわいい笑顔で迎えてくれた。 いつものようにリリスちゃんと会話をしていて、 「今日は、たくさんの荷物ですね?何かのイベント帰りですか?」 と、リリスちゃんから聞かれた。 たしかに買い物はしていないのだけど、ライブの時に貰ったチラシやポスターなどでバッグはパンパンになっていた。どうみても『オタクのイベント帰り』にしか見えない。 だけど、だからこそ『ハチミツ』に来ているのかもしれない。僕は好きな声優のライブだったことを話した。リリスちゃんは、よく知らないみたいで名前だけ知ってるような感じだった。 リリスちゃんと話をしているうちに僕は、ふと気づいた事があった。 『リリスちゃんの声って本田ヨシコに似てる気がする…』と。 僕は、やっぱり女性の『声』に魅力を感じるようだ。

小説を書いてみた。
その第一章⑦です。
投稿日時 : 2018/07/07 08:47

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