【小説】地下アイドルを推しています。第一章⑤

投稿日:2018/06/07 15:18:15 | 文字数:1,228文字 | 閲覧数:42 | カテゴリ:小説

ライセンス:

小説を書いてみた。
その第一章⑤です。

前のページへ
1
/1
次のページへ
TEXT
 

この店の『写メ撮影サービス』はそれだけではない。スマートフォンから印刷してカードサイズの写真にしてくれる。それをウェイトレスが一度預かって、それぞれに『メッセージ』を書いて返却するというのだ。どんなメッセージを書いてくれるのだろう、できた時にまた取りに来ようと思う。
そうこうしてるうちに時間は過ぎ、二十時になっていた。外で並んでる客が次々に入ってくる。満席のため立ったままセレモニーを見ることになるらしい。
そして、いよいよリリスちゃんのセレモニーが始まった。
リリスちゃんは『ステージ』という程ではないが、店の中の客がみんな見渡せる位置に立った。
「それでは、これよりリリスちゃんのセレモニーを始めたいと思います。最初にあこちゃんより花束の贈呈です」
司会のメルモさんは、客達に伝えるように言った。すると、奥からあこちゃんが大きな花束を持って出てきた。そして、その花束をリリスちゃんにわたした。
「リリスちゃん、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとうーーー」
リリスちゃんは少し泣きそうな声で、そう言った。それから、リリスちゃんのスピーチが始まった。
「本日は私、リリスの生誕イベントにお越しいただいて本当にありがとうございます。『ハチミツ』でウェイトレスをはじめて、まだ半年も経たない私をこんなにたくさんのお客様がお祝いしてくださるなんて…とても…とっても…」
リリスちゃんは少し震えた声になってきた。泣きそうなのが僕にも痛い程伝わってくる。
「…ごめんなさい。嬉しくて泣きそうです。上手にお話できなくて、ごめんなさい。でも、本当に嬉しいです。」
店の中はお客たちの拍手が鳴り響いた。
そして、リリスちゃんのスピーチは終わりセレモニーは終了した。
セレモニーが終わると立ったまま見ていたお客たちは、また外に並ぶこととなる。チーフウェイトレスのメルモさんは順番に扉から一人ずつ送り出していった。
僕がドリンクを飲んでいると一人のウェイトレスが側に寄ってきた。
「申し訳ありません。お客さま、お店の方が混んできましたのでラストオーダーとなります。」
カノンだった。
「うん、そうだね。これ飲んだら帰るので、お会計お願いしていいかな?」
「あ、はい。かしこまりました。」
リリスちゃんのスピーチも見れたことだし、僕は十分に満足した。
お会計が終わるとリリスちゃんとあこちゃんが僕の方へ歩いてきた。
「ハラトさん、今日は来てくださってありがとうございました。」
リリスちゃんが少しお辞儀をしながら、そう言った。
「セレモニー見れてよかった。あれ?なんで、あこちゃんが泣いてるの?」
僕は隣にいる『あこちゃん』の方が少し涙ぐんでいるのに気がついた。
「リリスちゃんのセレモニーに感動しちゃって、涙出てきちゃいました。」
リリスちゃんは、それを聞くと「あはは」と笑っていた。
「じゃあ、今日は楽しかったよ。また来るね。」
僕は、そう言ってお店をあとにした。

(プロフィールはありません)

この作品URLを含むツイート1

▲TOP