おとうさんが 立っていたよ
5日前に立っていたよ
踏切りのそばでずっと
線路をじっと見つめていたよ

お父さんが 家にいるよ
一昨日から家にいるよ
時々帰ってくるだけの
お父さんが 家にいるよ

お父さんが 泣いていたよ
ただ静かに 泣いていたよ
「死んだ方が楽だ」って
こけた頬で 呟いていたよ

お母さんが 僕をみてふと
笑いかけて 遠い目になって
生気の無い 土気の肌に
ため息さえ 使い果たす




遠い記憶に隠された 父(おきもの)の目は死んでいた。
怠惰な怠け者に見えたその目、時を越えいつの間にあの目でまた
俺は息子を見てた。息子は俺を見てた。

初めて薬を飲んだ夜 サイケな夢が忍び寄る
俺はダメかも知れないと思う 総てを断ち切る誘惑の夜
回らない頭 回らない心
巡る景色 巡る輪廻 ただ虚無を彷徨う

息を付いて耐える 生きている事に耐える
人としてダメかも心は萎える 壁一杯の線虫に耐える
たえまないイメージ 心にたまるダメージ
無理解な励まし 無責任な親切




お父さんが起きていたよ。
まるで起きていないみたいだよ。
僕を見ているけど見ていない
また、くず折れて横になるよ。

お父さんが 居なくなったよ
いつの間にか 居なくなったよ
ちょっとヤバイ 気がするよ
胸のざわめきが治まらないよ




途切れた記憶から半月 格子の向うに見える三日月
病室出るにも監視が付き 戻る机もあるのか予想もつき
気は焦るばかり 家族を慮り
やっと起き出しても座り込むばかり

処方も大分慣れた 此処にも少し慣れた
子供は俺から少し離れた
冷たい視線なのさ それでも蜘蛛の糸さ
それがあってまだ何とか 生かされてるのさ




お父さんが笑っていたよ
仏様のように笑っていたよ
おかあさんの泣いている声も
聞こえてないみたいだよ

お母さんに 言ってみたよ
離婚したらって 言ってみたよ
お母さんは こんな風に
笑うんだなって 思い出したよ




お前も分る日が来るだろう
お前も分る日が来るだろう
来ない方が幸せなんだろう、でも
似ているお前は分るだろう



おとうさんが 立っていたよ
一年前に立っていたよ
踏切りのそばでずっと
線路をじっと見つめていたよ


過ちはけして繰り返しませんから
けして繰り返しませんから




お前も分る日が来るだろう
お前も分る日が来るだろう
来ない方が幸せなんだろう、でも
似ているお前は分るだろう


生キロ


※希死念慮に苦しむ、うつ病の父と、その子供。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

karman

閲覧数:283

投稿日:2009/05/16 09:47:18

文字数:1,062文字

カテゴリ:歌詞

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